■おすすめ自然体験その2「公園の地面でロゼットハントする」
冬になると、タンポポやノゲシのように、茎を伸ばさず葉を地面に放射状に展開して冬越しする野草を見ることができる。上から見るとコサージュのようで、デザイン的にもかわいい。このように、いろいろな野草が地面スレスレに葉っぱを放射状に伸ばした姿を、バラに見立てて「ロゼット」という。
全ての野草がロゼット状態で冬を越す訳ではなく、秋にタネを作ったら枯れてしまうアサガオやエノコログサのような植物もいるし、カタクリのように根を保ちつつ早春の2ヶ月くらいしか葉を出さず、しかも花が咲くまで10年くらいかかる植物もいる。植物の生き方は、じつに多様だ。
ロゼットで冬を越すメリットはなんだろう? 寒い日でも地面スレスレの場所は風の影響を受けにくいので、寒さや乾燥対策になるかもしれない。さらに冬は多くの野草が枯れ、落葉樹も葉を落とすので地面に日光が届く。意外に光合成しやすいのかもしれない。そして春になった時、タネから芽を出して成長する野草より一足先に茎を伸ばせるので、茂った草に埋もれることなく良いポジションを獲得できるかもしれない。しかし、良いことばかりではないだろう。春なのに急に寒の戻りが起こることだってある。それが長引けば先に成長していた野草にとっては痛手となるかもしれない。
植物が地上に進出してから、約4億5千万年が経ったといわれている。その間、変化する地球環境に応答した結果、一部の植物はロゼットという状態を獲得した。冬、いつの間にか身近な都市公園などに点在しているロゼットを見ると、人間のような感覚器官や脳は持ってないけれど、植物は植物なりのやり方で世界を感じているんだなあとしみじみ思ってしまう。