冬のアウトドアといえば、スキーやスノーシューなど雪絡みのアクティビティを思い浮かべるかもしれないが、身近な環境でも楽しめる冬ならではの外遊びがある。今回は私の専門である「身近な生きもの観察」について書きたいと思う。

 なお、日本は南北に長く、また日本海側と太平洋側でも気候が違うため、今回の話は本州の豪雪地を除く地域を対象とすることをご理解いただきたい。

■おすすめ自然体験その1「ヨシ原でバードウォッチングする」

 寒い時期はなんとなく自然の営みがとまっているようなイメージがあるが、森の木々が落葉するので見通しがよくなり、野鳥観察にうってつけの季節だ。双眼鏡を持って森へ行くと、ツグミ、アカハラ、シロハラなどのツグミ類やエナガ、シジュウカラ、メジロ、コゲラなどの混群を見ることができるかもしれない。しかし、今回はさらに見通しが良く、森よりもたくさんの種類の野鳥が観察できる「ヨシ原」でのバードウォッチングを紹介する。

 「ヨシ原」とは、ヨシやアシが群生している場所のこと。護岸されてない海岸や湖沼、河川沿いに広がっている。鳥だけでなく、タヌキ、ヘビ、カエル、魚などたくさんの生きものにとって隠れたり、産卵したりできる大切な場所だ。さらに、生活排水や農業排水によって窒素やリンなどの化学物質が増え過ぎてしまった水を浄化してくれる役割も果たす。

ヨシ原に立つ落葉した木の上にとまっているチュウヒ

 夏は青々と茂っていたヨシ原も、冬はまさに枯れ野といった感じ。関東なら、東京都の江戸川や多摩川河口、千葉県の北印旛沼、茨城県の霞ヶ浦などに行くと、広大なヨシ原が残っている。周辺の水辺ではマガモやオナガガモなどのカモ類、カイツブリやカンムリカイツブリ、アオサギやコサギ、カワセミなど多様な鳥が見られる。

 落葉した樹木の上や、電柱、鉄塔などにも双眼鏡を向けてみよう。ハヤブサやチュウヒ、チョウゲンボウなど、ワシやタカの仲間がとまっていることもある。あるいは魚雷をつけた戦闘機のように、大きな魚を足で持って飛んでいるミサゴの姿に出会えるかもしれない。

 ひと通りさまざまなチェックポイントを観察したら、ヨシ原の中もよく見てみよう。都市部でもよくみるシジュウカラをはじめ、オオジュリンやベニマシコが草の種やカイガラムシなどを食べている姿を見ることができるだろう。

ヨシ原や周辺の水辺で見られた野鳥たち。左上から時計回りに、オナガガモ、カンムリカイツブリ、オオジュリン、カワセミ