ひと昔前に比べ、スキー場内で大手を振ってツリーランが滑れる場所が増えてきた。道具の進化や多様化した志向性などが、その小さな流れを生み出し、そこへ海外からのツリーランのパウダーを求める滑り手のニーズが合致した結果だ。全国を網羅するにあたって、恒常的にパウダーが滑れる地域のツリーランコースが多くなっているのは顕著。いまは、その流れが徐々に本州の様々なエリアに波及しつつあるのは、選択肢も増え嬉しい結果だ。

 その上で、森の木々の間を滑る際は、各スキー場が定める様々なルールを満たして楽しんで欲しい。コースを自由に滑れるケースもあれば、誓約書が必要な場合もある。また、いつ行ってもパウダーの条件で木々の間を滑れるわけではない。風や日射の影響が少ないぶん、その機会は増えるが、なによりもいつ行っても滑走条件が違うことが、面白さの一つでもある。

 ともかく、安全に気をつけながら、自然のままの地形に溢れるツリーランを楽しもう。

■北海道エリア

 林の中を滑るコースが多い北海道エリア。本州ほど標高は高くなくとも緯度の関係で森林限界が低いため、木々の間隔も密すぎず滑りやすい。

●ニセコ グラン・ヒラフ https://www.grand-hirafu.jp/winter/

[​ツリーランポイント ]: スキー場管理区域内(1日券/6600円)

 スキー場トップの標高が1,200m。コースとコースの間にはロープの規制はなく、特にツリーランコースと呼ばずとも、あちこちで木々の間を滑って楽しめる。スキー場下部の木々は密だが、上部は疎林帯。その上、地形はマッシュや沢状地形など豊かで何度滑っても飽きない。スキー場内で楽しめる地形の豊富さや積雪量、そしてリセット率の高さは全国でも指折りの場所だ。

●キロロリゾート https://www.kiroro.co.jp/ja/

[ ツリーランポイント ]:オフピステ(1日券/6500円)

 北海道内でも豪雪を誇るキロロ。完全立ち入り禁止エリアを除き、スキー場内にはオフピステエリアがあり、入り口から侵入することでパウダーやツリーランが楽しめる。朝里、余市、長峰、センターと大きく4つのエリアに分かれており、それぞれに広大なので、人気の場所を外せば、遅い時間でもパウダーを当てられることも珍しくない。

●ルスツリゾート https://rusutsu.com/

[ ツリーランポイント ]:ヘブンリースピリットコース(5時間券/7700円)

 ウエスト、イースト、イゾラの3つの山からなるルスツ。そのなかでも「ヘブンリースピリットコース」は、自然のままのすり鉢状地形が楽しめる。左右への当て込んだり、トリックを入れたりとフリースタイルな動きにもピッタリ。最大22度の斜度が500m近くも続き、ルスツのドライパウダーをとことん味わえるのが嬉しい限り。