「子どもにとって自然体験は良いことだ」と考え、家族で行くキャンプ以外にも様々な自然体験の機会を求めているパパやママの声をよく聞きます。ただ、費用を払って参加したものの、「何を得てきたのかな?」と費用対効果に疑問を持っている声をよく聞くのも事実です。塾に行けば学力の向上が期待され、英語塾であれば英語が話せるようになり、スイミングスクールであれば泳げるようになる、目に見えて効果がわかるものについては安心出来ても、効果が見えにくいものに不安になるのは仕方ないですよね。
■自然体験の教育的効果とは?
自然体験で子どもが得る効果について、文部科学省は以下の内容を掲げ、「子どもたちの心身の健全な発達のための子どもの自然体験活動推進事業」を継続的に推進しています。
社会で求められる仲間とのコミュニケーション能力や自立心、主体性、協調性、チャレンジ精神、責任感、創造力、異なる他者と協働する能力等を育むためには、様々な体験活動が不可欠です。(※文部科学省白書より抜粋)
また、東日本大震災により屋外で遊ぶ機会を失った福島県の子どもたちを対象に行った自然体験を提供するプロジェクト「ふくしまキッズ」における調査において、興味深い結果が報告されました。この調査では、対象である子どもたち全員が屋外で遊べないため、自然体験が子どもにとってどんな効果があるのかを客観的に知ることができます。具体的には、身体的能力の向上や、何かのスキル取得という具体的な効果ではなく、「踏み出す、頑張る」「自分で考える、どうにかする」などメンタリティの向上に寄与するような結果が報告されています。
つまり自然体験は、与えられた課題を基に知識やスキルを取得する学校型の学び、すなわち“知識を学ぶ力”ではなく、“知識を使う力”を養う機会であり、非認知スキルの習得を促すことで、答えのない問題に向かい、解決を目指し、自ら学び続ける「アクティブラーナー」を育て、「なぜ」「どうやって」を単独かつ断片的な知識で解決するのでなく、様々な視点、価値観など、横断的な思考を持って解決を目指す力を養う絶好の機会となるのです。