秋田県と山形県の県境に位置する鳥海山(ちょうかいさん・標高2,236m)は「出羽富士」と呼ばれ、東北地方を代表する山だ。深田久弥は著書「日本百名山」で「山容秀麗(さんようしゅうれい)という資格では、鳥海山は他に落ちない」と記している。

 日帰りでも、高山植物、頂上付近の険しい岩壁、そして眼下に広がる日本海と、変化に富んだ景色が堪能できる。

■鳥海山5合目、鉾立登山口から山頂を目指す

 鳥海山の登山道は数多くあるが、今回は5合目、標高1,156mの鉾立(ほこだて)登山口から登る「象潟口(きさかたぐち)ルート」を紹介する。海岸沿いから延びる山岳周遊道路「鳥海ブルーライン」の最高地点で、駐車場、ビジターセンター、鉾立山荘などがある。

登山開始直後、秋田県の方向を望む(撮影:ブラボーマウンテン編集部)

 登り始めて間もなく展望台があり日本海が望める。奈曽(なそ)渓谷を左手に見ながらの尾根歩きが続き、出発から約1時間で平原が広がる「賽(さい)の河原」に出る。草地が広がり、雪渓から清水が流れ出て、夏山らしい雰囲気が漂う。

雪渓から清水が流れる賽の河原(撮影:ブラボーマウンテン編集部)
賽の河原で味わえる、気持ちのよい草地歩き(撮影:ブラボーマウンテン編集部)