警視庁警備部災害対策課がツイッターで提案しているトイレットペーパーの非常時用の工夫が話題になっている。

警視庁警備部災害対策課のツイート:https://twitter.com/MPD_bousai/status/1549879718333546496

 災害時の避難生活に向けての工夫だが、登山・アウトドア業界では定番のもの。「なにを今さら」と思う人も多いかもしれない。だが、知らない方もいるかと思うので、紹介しておきたい。

 内容はいたってシンプル!「トイレットペーパーの芯を抜き、中心から使う」だ。

■登山の基本!?  思い出のトイペ

 筆者の学生時代、20世紀の話であるが、登山を始めるときにまず最初に教えられた生活術の一つでもある。ただロールの中心の紙芯を抜くだけ。そして使うときは通常と違って中から必要な分の紙を引っ張り出して使う。通称「トイペ」と呼んでいた。

量を調整して潰し、“すき間”を上手く使ってパッキングできる

 重量こそ極々わずかに軽くなるだけだが、潰してパッキングできること。さらに山行に必要な量だけ予め調整して持っていくことができるのが、登山用として大きなメリットだ。当時はさらに、布テープを外側に巻いて補強していた。多少は防水性も上がっていたと思う。用を足す時や使用後の食器などを拭うのにマストのアイテムだった。夏の長期縦走では、食糧や燃料より、「トイペ」の残数が減っていくと如実に山行の終わりを感じていた。

 コンロはコールマンだったが、数が足りない時はブス(ホエーブス)も登場していた。ブス板という名称は現役、カトラリーは武器と呼んでいた時代。匂いのつかないプラスチックボトルなど(たぶん)存在せず、水筒はポリタンだった。とにかく独特の匂いが付いて、その味をいまだに思い出す……。

 話を戻そう。

 今は便利なチャック式のポリ袋(ストックバッグ)などがあるので、芯を抜いたトイレットペーパーをそれらに収納しておけば完成! 防水性もバッチリだ! オシャレな「トイペ」ケースを商品として展開しているブランドもある。なんてことはないが、正常進化!? している。

■一長一短! 少々使いにくいのでぜひアレンジしてみて

引っ張るだけで紙が出てくるが、捩れやすい

 一見便利そうだが、実は難点もある。それは使うときに捩れた状態で紙が出てきやすいことだ。面倒でも綺麗に伸ばして使うか(リスクを承知で)そのまま使うか……。

 これは“ピーピー”率が高かった当時の僕にとって、大きな悩みだった。結局、芯だけ抜いて(必要な量に調整し)潰して携行、外側から使うことで落ち着いている。

 一長一短あるものの、これを基本系として、アレンジして活用している人も多い。(持っていく装備に制約を受ける)登山用としてのポイントは、濡らさない工夫とパッキングのしやすさではないだろうか。逆に一般的なキャンプなどでは、便利なアイテムがいっぱいあり、必要ないのかもしれない……。

 災害時・避難生活のアイテムはアウトドアの用品はもちろん、知識と経験が大いに活躍する場でもある。皆さんの創意工夫で改良して、良いアイディアはどんどん情報を共有できれば幸いである。