2005年に世界遺産に登録された知床。海、動物だけでなく、知床が誇る大自然の山々。その最高峰が羅臼岳(1,661m)だ。登山シーズンには多くの登山者が訪れ、知床の自然に触れている。しかし、その道のりは長い。羅臼岳登頂までの道のりや注意する点はどんなところだろう?

■世界遺産・知床と羅臼岳

高山植物の花々もきれいな羅臼岳の登山道

 世界遺産・知床の特徴は、豊かな海にある。栄養素に恵まれた海は多くの魚介類を育み、それらを捕食する野生生物も多様だ。そのような海を育てるのは山であり、豊かな自然に恵まれた山々は野生生物の生息地ともなる。このような豊かな自然の調和が取れているのが知床の魅力だ。

 知床の山へ登ることができる登山道は限られている。これは世界遺産となる以前から、人が少なく自然に囲まれた地域だったことが主な要因だが、今ではその少ない登山道が知床の山の自然を味わうことができる貴重な存在だ。

 現在登山道として歩くことができるのは羅臼岳を中心に、北側のウトロと南側の羅臼から登る登山道、そして東側の硫黄岳からの縦走路だが、広大な知床の山々の中ではほんの一部。この中で、一般的に多くの登山者が利用するのがウトロ側からの登山道だ。

■ヒグマが闊歩する! ワイルドな自然環境

道路から数十メートルほどの海岸を歩くヒグマ

 知床はヒグマの生息数や生息密度が高いことでもよく知られているが、その生息場所は山だけでなく、海岸や川辺、道路にも頻繁に姿を現す。知床の道路を車で運転しているだけでヒグマを目にすることも、けっして珍しいことではない。

 まるでサファリパークの中にでもいるような感覚に陥るが、そのようなワイルドな自然環境での人間の振る舞いには注意も必要だ。野生生物への餌やりはもちろん、写真撮影などのために近づいたり、ゴミを捨てたりするなどの行為は厳禁だ。