■パンツの履きやすさと特徴

モンベル:レングス長が豊富で、スッキリとしたシルエットで履くことができる。裾には独自の「サムエシステム」を搭載し、内蔵のゴムコードを足首にかけることで、長すぎる裾を調整したり、めくり上がりの防止にも役立つ。モンベル・ストームクルーザーには今回紹介のモデルのほか膝までのジップのノーマルなレインパンツもある。

https://webshop.montbell.jp/goods/disp.php?product_id=1128562

ミレー:裾のサイドジッパーが短めなため若干の履きにくさはあるが、そのぶん軽量化には貢献している。裾はオーソドックスなドローコードで絞ることができるタイプだ。なお、ミレーにはオーバーパンツタイプではなく、単体で雨天用(全天候型)パンツとして履けるモデルも用意しているので、重ね着が暑いという人は試してみてほしい。

https://www.millet.jp/c/men/bottoms/MIV01483

パタゴニア:ひざ上まで開くサイドジッパーはゴツイ登山靴でも容易に履くことができ、上部から開けばベンチレーションとしても機能。裾はゴム―シャーリングとボタン調整でめくり上がりをしっかりと抑えることができる。ジャケット同様しっかりとした生地を採用しているのでタフな山行や作業での着用も安心だ。

https://www.patagonia.jp/product/ms-torrentshell-3l-pants-reg/85265.html

 いちばん履きやすかったのは、やはりサイドをフルオープンできるモンベル。次点がかなり上部まで裾のジッパーを開くことができ、ダブルスライダーも備えてベンチレーション的にも使えるパタゴニア。ミレーは裾ジッパーの開口長が短いので登山靴のまま履こうとすると若干の引っ掛かりがあった。
 ウエストの調整はミレーのみサイドにドローコードで絞るシステムでスピーディーに調整可能。他は前面センターで紐で絞って結ぶオーソドックスなタイプ。
動きやすさという点では、ミレーが生地が薄めでストレッチ性があるので、ダントツに良かった。レインウエアにあるがちなシャカシャカ感もなくストレスなく着用できる。モンベルも細身の割には中に着たパンツとの摩擦が少ない。

 レングス(裾丈)はモンベルが各サイズにノーマル・ショート・ロングとあるので、足の短い人、長い人にも嬉しいサイズ展開だ。パタゴニアはレギュラーレングスのほかにショートレングスも用意。ミレーは1レングスのみだ。

■まとめ

 ここまで着比べてみて、「これが最強!」と言いたいところではあるが、3ブランドともにそれぞれじつに個性的なレインウエアだったために、なかなか甲乙付けがたい結果となったが、敢えて一番を付けるならば、やはり日本の気候を知り尽くし、長年レインウエア開発に力を注いできたモンベルの「ストームクルーザー」が総合力では一番と言えるだろう。デザイン的にもサイズ展開を細かく設定したことにより、以前の日本の中高年向けオジサン向けのシルエットから欧米のアウトドアブランドにも引けを取らないカッコいいシルエットに進化した点も評価したい。

 ミレーの「ティフォン5000ST」は、デザインセンスが良く、抜群の透湿性の良さと生地のしなやかさで、アウトドアだけでなく、例えばこれからの台風シーズンに街でスーツの上から着ちゃうこともできる守備範囲の広さが光った。

 パタゴニアの「トレントシェル」は真夏の低山でのテストでは蒸れ感を感じたが、逆に標高が高い山や秋以降に冷たい雨が降るようなコンディション時には高い防水性と保温性、そして丈夫な生地がしっかりとしたプロテクト性能を発揮し、登山者を自然の脅威からしっかりと守ってくれるだろう。

 最後に繰り返しになるが、レインウエアは個々の防水透湿性のもさることながら、生地表面の撥水性がその着心地や見た目の性能をも大きく左右する。適切な洗濯とお手入れ方法で、しっかりと水弾きしてくれる状態をキープして雨の日のアウトドアを楽しんでもらいたい。