梅雨末期、「線状降水帯」による被害が相次いだ日本列島。一カ所で降り続く雨により土砂崩れや浸水などの被害が報じられた。今回は線状降水帯の仕組みを紹介。また、これから暑い夏を迎えるが、強雨や大雨で起きやすい山や沢での危険も知っておこう。
■線状降水帯とは
7月に入ってからの山陰地方や九州南部での大雨の原因として「線状降水帯」が注目されている。
線状降水帯とは、文字通り、帯状(線状)に強い雨が降っているエリアのことだ。一カ所で強い雨が長時間降り続くので、土砂災害や河川の氾濫など大きな災害が起きやすくなる。
線状降水帯は、積乱雲が連なって次々に流れ込んでくることで起きる。上の図のように、海から暖かく湿った空気が流れ込み、前線や山岳などの影響でそれが急激に上昇すると、そこで積乱雲が発達する。
通常は、その場で積乱雲によって強い雨が降る。積乱雲は比較的寿命が短いので、数時間で強い雨は収まることが多い。
しかし、線状降水帯の場合は、積乱雲が上空の風に流され、風下に向かって流れていく。続けて海からの暖かく湿った空気が流れ込み、ぞくぞくと積乱雲の発生が続くので、強い雨を降らせる線状降水帯ができる。
■強雨や長雨の後は、山の土も崩れやすくなる
線状降水帯では、同じ場所に強い雨が降り続くため、降り始めからの総雨量が大きくなる傾向にある。
豪雨でなくても、雨が長時間降り続ければ、土はたっぷりと水を蓄積し、崩れやすくなる。たとえば、庭や畑の草むしりで、晴れ続きの日に渾身の力を込めても抜けなかった雑草が、長雨の後だとスルッと抜ける。保水した土がどれだけ軟らかく、脆くなるのか少し想像できるだろう。
大雨が降っているときに登山をする人はまずいないだろうが、大雨や長雨のあとも警戒してほしい。落石が起きやすい崖沿いや沢沿いのほか、雪渓などは急激に雪解けが進んで地盤が緩み、土砂崩落などが起きやすい状態となる。雨がやんだ後も、数日は十分に警戒が必要だ。