■遭難を防ぐために私たちにできること

遭難発生状況、登山中(縦走中含む)5件(33%)、下山中10件(67%)、※沢登り1件、クライミング1件は除く『山梨県警発表、2021年6月26日~7月25日』

 まず、下山中の事故が占めている割合を知ってほしい。登山者の皆さんなら、下山中に道に迷いやすいことは実感するところだろう。登山は山頂の1点に向けて、道が集約されていくが、下山は広い山麓に向けて、道が分岐していく。滑落にいたるまでの間接原因として、道迷いが健在化している事故も少なくはない。

 2020年から2021年にかけては、年齢に関係なく体力が落ちている人がほとんどだろう。体力が落ちるということは、視野が狭くなり判断力も鈍っているということだ。また、水分補給がうまくできていないように思われる事例も目につく。脱水は熱中症にもつながり、フラッとしたところが危険地帯なら滑落する。7月22日には、登山者が観音平から権現岳に登る途中、飲み水がなくなって疲れたため救助要請をだしている。これは極端な事例ではあるが、水が足りない、というのは誰にも起きうる可能性はある。

 自分の評価を自分でするということはとても難しいが、自分に合った登山をしながらその領域を少しずつ広げていく、というのは登山の醍醐味の一つだ。登山計画を立てる際のヒントを上げるので、ぜひ楽しい登山を長く続けてほしい。

・充分な水分量を持ち、登山中、管理しながら水分摂取できるか
 【登山中の水分量の目安=(体重+装備)×行動時間×5ml】
・登山日までに、自分の体が暑さ慣れできているか
・スケジュールでは、下山時間の余裕を持たせる