■コロナ禍で、単独登山者が増えている
半数以上が単独の登山者である。2019年7月の同じ期間では、単独:複数の割合は5件:12件のため、コロナ前と比べて、逆転しそうな勢いで単独登山者が増えているのがわかる。単独の登山の危険は、複数で登る場合に比べて、死亡と行方不明になる確率が2倍以上に増えることだ。(警察庁発表の遭難統計から)
しかし、7月は人気のルートで混雑日に事故があったため、見つからなかった事案は起きていない。行方不明になるという事は、残された家族に精神的にも経済的にも多大な苦痛を長期間にわたってかけるため、なんとしても避けたい。
■県警の遭難防止・救助活動
県警では、連休初日の22日、山岳遭難防止の街頭キャンペーンを甲府駅、広河原、黒戸尾根登山口、他3か所で行った。そんななか、24日には4件の山岳遭難が起きた。1日に4件もの救助はどう行ったのか、県警救助隊の体制を聞いた。広河原には南アルプス署の救助隊員が基本1~2名常駐しており、事故が起きるとそこから出動になる。行ったことのある方は想像してほしい。まず、間ノ岳で要請が入る。続いて八本歯、その後に大樺沢の分岐。現実的でないのがわかるだろうか。当日は北岳山荘スタッフ、たまたま北岳山荘から下りる医療従事者の協力もあって、救助が行われたそうだ。
「救助って、ヘリが来るんじゃないの?」と思われる皆さんも多いだろう。そうは問屋が卸さないのが夏山である。夏は暖まった空気が山を登り、だいたい午後から雲がでる。ちょうど朝から登り始めた登山者の疲れが出始め、救助要請が集中する頃だ。しかし、ヘリコプターは有視界飛行なため、雲がでて視界がないと飛べないのだ。24日も同じ状況で飛んでいない。