日本の国蝶として知られるオオムラサキ。鮮やかな青紫色の翅(はね)を羽ばたかせて飛ぶ姿は迫力があり、チョウの中でもひときわ目を引く存在だ。しかし近年、かつての生息地であった里山の減少により、その美しい姿を見かけることは珍しくなりつつある。
八ヶ岳高原に広がる北杜市長坂町は、豊かな自然が残る地域で、今も多くのオオムラサキを見ることができる。成虫を観察できるのは毎年6月下旬頃から7月中旬頃までの限られた時期。今回はこれから羽化のピークを迎えるオオムラサキを間近で楽しめる施設「オオムラサキセンター」を紹介する。
■緑豊かな自然公園の中にある博物館
オオムラサキセンターは、約6ヘクタールの広さを誇る自然公園内にある博物館。この地域には、オオムラサキの幼虫の食草であるエノキが群生しており、こうした環境条件が重なって、オオムラサキの生息数日本一を誇る特別な場所となっている。
施設は、生態や魅力を学べる「本館」、世界の珍しい昆虫標本を集めた「森林学館」、そして自然に近い環境でオオムラサキを間近で観察できる「びばりうむ長坂」の3つに分かれる。まずは大きなオオムラサキのデザインが目を引く本館で受付を済ませたら、見どころあふれる見学のスタートだ。
■国蝶が舞う森、生態観察施設「びばりうむ長坂」
オオムラサキセンターの目玉と言えば、生態観察施設「びばりうむ長坂」だ。網張りの施設で、季節ごとに異なる姿のオオムラサキを自然に近い環境下で観察することができる。オオムラサキは翅を広げるとオスは10cmほど、メスはひと回り大きく12cmほどにもなる大型のチョウで、特にオスの表側の翅は美しい青紫色をしているのが特徴だ。
施設内では、飛び回るチョウたちの「バサバサ」という羽音が聞こえるほど、その姿を間近で観察することができる。時折、帽子や肩にとまるチョウたちはとにかく自由気まま。また、この日はオオムラサキの幼虫も見ることができた。ふたつに分かれた触角が“まるでうさぎのようで可愛らしい”と最近人気の幼虫である。成虫を見られる時期は夏の短い間だけだが、卵や越冬幼虫、サナギなどの姿もぜひ見に行きたい。