コロナ禍以降、登山業界では「低山」や「日帰り登山」といったライトなスタイルが大きなトレンドとなっています。この流れに伴い、バックパックやシューズも “軽量で扱いやすいもの”が求められるようになりました。
一方で、軽さを追求したギアに不安を感じる登山者が増えているのも事実。特にシューズは、軽さとサポート性を兼ね備えた欲張りなモデルに注目が集まっています。
このジャンルの代表格といえるのが、サロモンの定番シリーズ「X ULTRA」です。今回はこのシューズを半年ほど履き込み、その人気の理由を探ってみました。
◼️履き始めて感じた「スペック値の印象との違い」
試したのは、シリーズ最新作「X ULTRA 5 GORE-TEX」のローカットモデル(以下、X ULTRA 5)です。まず、足を通して最初に感じたのは、想像以上にソフトな履き心地でした。
サロモンといえば、テクニカルなトレッキングブーツやランニングシューズの印象が強いのですが、「X ULTRA 5」は気軽に履けそうな足入れ感でした。近年の市場ニーズを踏まえて、“誰もが使いやすい一足”を目指して開発されたモデルなのだそうです。
X ULTRAの重量は380gほど(片足)と、トレランシューズほどではありませんが、トレッキングブーツと比べるとかなり軽い部類に入ります。従来のトレッキングブーツを履き慣れている方が軽量なシューズを敬遠する理由のひとつは、この履き心地の軽さ、柔らかさと、サポート性に不安を感じるからでしょう。
私自身も、スペック値から“軽量なローカットシューズ”のつもりで履き始めました。しかし、実際に履き込むうちに“軽さと同時に、しっかりとした安定感とサポート性も兼ね備えている”ことがわかってきました。
◼️横方向にはねじれないが、縦方向にはフレキシブル
その理由のひとつが、ミッドソールに内蔵した土踏まずの両サイドをホールドするような形の「アドバンスドシャーシ」と呼ばれる構造です。不安定なトレイルでも足の横ブレを防ぎ、捻挫などのトラブルを未然に防いでくれる優れもので、実際にローカットながら足がホールドされている安心感があり、岩場でも足の置き場が決まりやすいのが印象的でした。
ソールカップは横方向のねじれには強い一方で、ソール自体にはプレートが入っていません。歩行時は自然に足が曲がり、長時間の歩行でも疲れにくいのも特徴です。特にアプローチで林道歩きが長い山や、1日中細かいアップダウンを繰り返すような中低山では非常に快適な履き心地でした。