●富士山と駿河湾を望むパノラマ展望
稜線に出ると、道は一段と明るくなり、開けたエリアへと進んでいく。傾斜は緩やかで、途中いくつか小さなアップダウンを越えると、やがて「魂ノ山」と書かれた白い標識が現れる。標高933mの山頂は、木々に囲まれながらも西側が開けており、駿河湾の青さと、その向こうにそびえる富士山が一望できる絶景ポイントである。晴れた日には伊豆の山並みや、海越しに南アルプスまでも見通せるほどだ。
風の音と鳥の声だけが響く中、心が洗われるような静けさが広がる。まさに“魂”に触れるような、印象深い時間を過ごせる山頂である。
●振り返る富士を背に、穏やかな帰路
山頂での絶景を堪能したあとは、同じ道を引き返して風早峠へと下山する。行きと同様に歩きやすい道ではあるが、下りは木の根や小石で滑りやすい箇所もあるため、油断は禁物だ。ときおり背後を振り返ると、富士山がその存在感を見せ続けてくれる。
ゆっくり歩いても往復2時間以内の行程で、時間と体力にゆとりが持てるのもこの山の魅力である。気温の上がる午後には登山道にも柔らかい光が差し込み、朝とはまた違った雰囲気に包まれる。登山口に戻ると、あっという間に感じるが、身体には山を登った心地よい疲れがしっかりと残る。短時間でこれだけの満足感が得られる山は貴重であり、初心者からベテランまでに広くおすすめできるコースである。
●春の彩りで登山の締めくくりを
下山後は、駐車場から車で40分ほどの距離に位置する、伊豆半島東側の河津町まで足を延ばしてはいかがだろうか。ここでは例年2月上旬から3月上旬にかけて「河津桜まつり」が開催され、一足早い春の訪れを楽しめる。
濃いピンク色の河津桜はソメイヨシノよりも花期が長く、2月中旬〜下旬にかけてが見頃となる年が多い。筆者が昨年訪れたのは2月26日で、写真のような桜並木と菜の花を楽しむことができた。
町内を流れる河津川沿いには桜並木が続き、菜の花とのコラボレーションがフォトスポットとして人気だ。露店や地元グルメも充実しており、登山の疲れを癒しながらのんびりと散策できる。2026年のさくらまつりは、2月7日から3月8日に開催予定であり、登山と組み合わせた早春ドライブプランとして最適である。山の清涼感と桜の華やかさを同時に味わうことで、心も身体も満たされる一日となるはずだ。