静岡県静岡市にある浜石岳(はまいしだけ・標高707m)は、富士山や伊豆半島、駿河湾を見渡すことができる眺望のいい山だ。富士山の眺望がいい山は多くあるが、浜石岳からは他の山からは見ることのできないユニークな「逆さ富士」を望むことができる。湖もないのに逆さ富士を望むことができることも含めて、今回は駿河湾に面した駅から浜石岳山頂を目指すルートを紹介したい。
■由比駅からスタート! 海から目指す浜石岳

起点となるのはJR東海道本線・由比駅(ゆいえき)だ。由比駅は海沿いにあるため、駅から海を望むことができる。浜石岳へは海から山頂を目指すため、山の標高は707mと高くはないが、累積標高差は約881mあり、登りがいがある。
由比駅から商店街を抜け、里山の風景を楽しみながら標高を上げていき、だんだんと眼下に海と麓の街が広がってくるようになると、みかん畑に囲まれ、ほのかに香る柑橘系の匂いを感じられる。入り組んだ路地を通っていくが、しっかりと標識の案内があるため、道に迷うことはなかった。

■樹林帯を抜けて山頂へ。麓の街並みと富士山を一望できる大展望

由比駅から市街地を通り約2時間、浜石岳登山者駐車場に到着する。マイカーで訪れる場合、この駐車場を利用するとよい。ここからがいよいよ登山道となり、山頂まではおよそ1時間ほどだ。
駐車場の脇から登山道に入ると、春本番を迎えた森は鳥のさえずりで賑やかだった。単調な樹林帯だが、急がずに鳥の鳴き声や、足元に咲いた野草を見つけながら歩くと楽しめるだろう。途中、三本杉という展望地もあるため、麓にひろがる駿河湾と街並みを楽しんでから山頂を目指したい。

薩埵峠(さったとうげ)との分岐点を通過すると、勾配はゆるやかになり、木々が開けてくる。やがてあたりが芝に覆われると、丘の先に富士山がせり上がるように現れる。登山口から約50分ほどで山頂に到着だ。
