■上杉軍・斉藤氏、18歳の少年が守る霊山「嵩山」
嵩山は群馬県の中之条町に位置する岩峰で、岩櫃山と同様に、ぐんま百名山に選ばれている。嵩山の登山口は「道の駅 霊山たけやま」にあり、表登山道と東登山道がある。どちらも道の駅が起点のため、周回で登る人が多いようだ。今回は、表登山道から登り、小天狗、中天狗、大天狗のピークに登り、東登山道から下山する周回コースにした。
登山口から約40分は、落ち葉の積もったつづら折りの登山道を登って行く。約450mで標高差170mを登るタフなコースだが、一度稜線上に出てしまえば緩やかな登山道に変わる。一番西側のピークである小天狗は植生が少ないため、岩櫃山や榛名山などの景色を楽しめる。小天狗のすぐ西には不動岩と呼ばれるポイントがあり、登ることができるが、ほぼ垂直な鎖場のため無理は禁物だ。
小天狗から中天狗を経由し、嵩山山頂の大天狗へ向かう。大天狗手前は距離約100m、標高差40mの鎖場が続いている。岩櫃山や不動岩の鎖場に比べれば傾斜は緩いが、注意しながら歩くので、距離以上に長く感じた。山頂には視界を遮るものはなく、周囲の山並みや榛名山、赤城山などが見渡せる。
現在は多くの登山者が訪れる絶景スポットの大天狗だが、時は戦国に戻り永禄8年。齢18の少年・城虎丸は上杉の援軍を得て、岩櫃城奪還を図るが失敗。逆に真田の攻撃を受け、追い詰められた城虎丸は大天狗の岩場から身を投げたという。残された者もこれに続き、戦いは終結した。大天狗の登り口に嵩山城本丸址がある。そこには、当時の犠牲者を弔うために建立された71体の仏像が静かに佇んでいた。
この戦いの結果、勝利した真田氏は岩櫃城を拠点に勢力を拡大。歴史の表舞台に立つことになる。
■対照的な歴史を紡ぐ2つの低山
今回は、歴史を感じながら登れる日本百低山、岩櫃山と嵩山を紹介した。岩櫃山と嵩山はコースタイムが2時間半程度で、それぞれの登山口は車で約15分の距離にあるため、1日で両方の山に登ることも可能だ。
なお、岩櫃山も嵩山も「低山だと思って舐めてた」という感想が多く聞かれる。距離に対して獲得標高も多く、コースによっては鎖場や岩場が連続する難コースだ。低山は「難易度が低い山」ではないことを肝に銘じたい。
どちらの山も山頂まで行かなくても景色や歴史を感じられる魅力ある山だ。自身の技術や天候などを考慮して無理せず楽しんでほしい。
●【MAP】岩櫃山
【平沢登山口~岩櫃城本丸址~岩櫃山往復コース】所要時間
平沢登山口(0:00)→ 岩櫃城本丸址(0:20)→ 岩櫃山(1:25)→ 岩櫃城本丸址(1:55)→ 平沢登山口(2:10)
歩行距離:約2.9km
累積標高差:登り 324m、下り 324m
合計所要時間:2時間10分
●【MAP】嵩山
【道の駅霊山たけやま~小天狗~中天狗~大天狗周回コース】所要時間
道の駅霊山たけやま(0:00)→ 天狗の広場(0:40)→ 小天狗(0:45)→ 天狗の広場(0:50)→ 中天狗(1:00)→ 経塚(1:15)→ 大天狗(嵩山山頂)(1:25)→ 経塚(1:30)→ 道の駅霊山たけやま(2:15)
歩行距離:約2.1km
累積標高差:登り 323m、下り 323m
合計所要時間:2時間15分