広島の尾道から四国の今治を結ぶ、サイクリスト憧れの地「しまなみ海道サイクルルート(以下、しまなみ海道)」。
日本初の海峡横断自転車道として1999年に全線開通した約70kmのサイクリングコースで、全行程を走破するには時間も体力も必要です。ですが、コースを選びさえすれば、初心者でも気軽に“しまなみ海道に来てよかった”と感動する体験ができます。
折りたたみミニベロをクルマに積み、6つの車輪でゆるく日本を旅する「ゆる6輪の旅」。今回は短時間で瀬戸内の自然としまなみ海道の壮大さを味わうという、贅沢な願いをかなえてくれるルートを走りました。
■絶景あり、美味ありの“ご褒美サイクリング”とは?
「しまなみ海道を自転車で走ってみたい。でも、時間は3時間しかない」。
今回うどん県こと香川での取材を終えた後にゆるりとサイクリングするコースに選んだのが、しまなみ海道・四国側の起点である愛媛県今治から、大島にある亀老山(きろうさん)展望台を目指すという往復コースです。
距離は片道約12kmで、景色や美味しいものを楽しみながら90分ほどの予定。そのハイライトは、海峡に浮かぶ島々を足場にした3つの吊り橋で構成される、総延長4km超えの来島海峡大橋を通ることです。
来島海峡大橋といえば、しまなみ海道を代表するランドマークですが、四国側の発着点のサンライズ糸山は橋を渡り終えたたもとにあります。
つまり、本州側の発着点の尾道駅からサイクリングをスタートした場合、ゴール直前に高いところでは海面から約80mもの“天空”を走ることになるため、“しまなみサイクリングのご褒美橋”と呼ばれ旅のクライマックスの象徴として愛されています。
そんな、「これぞしまなみ海道!」といった絶景を手軽に味わえるのがこのコースの魅力なのです。
■愛媛側からなら陸路でのアプローチが可能
クルマのデポ地に選んだのは、サイクリストが利用できる駐車場が完備されている「サンライズ糸山」です。
TyrellのFCXを組み立て、駐車場を出てサイクルルートに出るとすぐに、路上に青い線を見つけることができます。
この「ブルーライン」は全国のサイクルルートで推奨ルートを示すために使用されていますが、発祥はここしまなみ海道とされています。コースの随所にマーキングされているので、頻繁に地図を確認しないでも心強い道しるべとなります。
来島海峡大橋の通行料は、自転車と歩行者は無料。スロープを上っていくと、吊り橋の上部が少しずつ姿を現すにしたがって期待が高まっていきます。
サイクルルートの本州側の起点である尾道には、対岸の向島(むかいしま)の間に橋はあるものの、自転車歩行者道がないため、サイクリストには渡船の利用が推奨されています。
自転車を折りたたまずに乗れ、海路を行くのも情緒があって良いものですが、フェリーで始まる尾道側とは対照的に、スタート直後から自転車で巨大な三連吊り橋へ向かえるのが、今治スタートの醍醐味かもしれません。
すぐに来島海峡大橋の主塔が目に入り、ゆるい坂を上りきるといきなり瀬戸内海の絶景が目の前に開けてきます。
左手側が本州、右が四国ですが、どちらも数え切れないほどの島々が遠くにかすみ、足元には最大潮流10ノット(秒速約5m)という潮がどうどうと流れている大パノラマが広がります。
自転車と歩行者は、橋の本州側のレーンを通行するので足元からすでに絶景ですし、クルマはもちろん原付とも完全に分離されている道なので安心。
もちろん歩行者や対向車への気配りや、橋の構造体を回り込む部分では速度を落とす必要がありますが、この日には、歩いている人を見かけることはなく、ペダルを踏むたびに「ついにしまなみ海道に来たぞ!」という気持ちが高まっていきます。
全長約4kmの橋の途中には、道路の通行をじゃましないように設置された休憩所もあります。海外からのツーリストもレンタサイクルでしまなみ海道を満喫しているようで、ヨーロッパから訪れたという男性は、2か月かけて日本を回っているとのことで羨ましいかぎりでした。
360度どちらを見ても写真に収めたくなるような美しい風景ばかりで、橋を渡り終えるのに30分ほどかかってしまいました。