山梨県韮崎市にある甘利山(あまりやま・1,731m)は、南アルプスユネスコエコパークの緩衝地域に位置する山梨百名山のひとつだ。標高1,700mを超える山ながら、駐車場から山頂までは約30分程度で登れる。例年6月にはレンゲツツジが山肌を彩り、秋には紅葉も楽しめる。条件がそろえば雲海に浮かぶ富士山や夜景も望める。
山頂まで30分では物足りないと感じる人は、千頭星山(せんとうぼしやま・2,139m)まで足を延ばすのもおすすめだ。筆者も昨秋に登った際は千頭星山まで足を延ばし、何度も足を止めて富士山を眺めた。今回は、その道中で出会った心に残る景色を紹介する。
■富士山を眺めながら、約30分で甘利山山頂へ
甘利山へは、中央自動車道・韮崎ICから約60分のところにある甘利山広河原駐車場から向かう。 駐車場入口の向かいに甘利山登山口があり、山頂までの道は整備されていて歩きやすい。登山口から緩やかな道を5分ほど登ると東屋があり、早くも富士山が姿を見せる。
さらに10分ほど歩くと、甘利山の小ピークである鍋頭(なべあたま・1,722m)の中腹に差しかかる。この辺りから足元は木道に変わり、周囲の高い木が少なくなるため視界が開ける。富士山を望みながら歩ける贅沢な木道で、 つい足を止めてしまう。
木道をさらに進むと、甘利山山頂に到着する。秋にはススキの先に富士山がそびえ、周囲の山並みや甲府盆地も見渡せる。天気のよい日は、澄んだ青空の下、景色を眺めながらのんびり過ごすのもよいだろう。
■甘利山から先は、登りごたえのある道へ
甘利山山頂で景色を楽しんだあとは、千頭星山を目指して先へ進む。甘利山から千頭星山までの道は標柱も設置されているので、比較的わかりやすい。
途中、奥甘利山(おくあまりやま・1,843m)と大西峰(おおにしみね・2,066m)を越えるため、登り下りが増える。奥甘利山の山頂は縦走路から少し入ったところにあり、往復5分ほどで立ち寄れる。
甘利山から千頭星山までの縦走路には、一部に大きな段差や登山道が崩れた場所がある。足元を確認しながら慎重に進もう。
段差のある道を慎重に進む。道中息が上がって足を止めると、視界にはまたダイナミックな富士山。景色を眺めながら呼吸を整え先へ進む。そんなことを繰り返しながら約1時間30分。大西峰を越えると、それまでとは違う景色が待っていた。
■思わず立ち止まった、緑色のカーテン
大西峰の山頂は林に囲まれている。簡素な山頂標識を過ぎると笹原になり、木々から幾重にも垂れ下がるサルオガセが目に入る。サルオガセは、菌類と藻類などが共生する地衣類の仲間だ。木の枝などから垂れ下がる姿が特徴的で、山地の森で見られる。
これまで山で見かけることはあったが、これほど多く生息している光景を見たのははじめてだ。まるで緑色のカーテンのような風景に、ここでも思わず足を止めた。
●どこを見ても山。贅沢な展望が続く登山道
サルオガセの群生を抜けると再び笹原になり、千頭星山へ向かう一本道が先へと延びる。 左手には富士山、右手には鳳凰三山が見え、地蔵岳の岩峰「オベリスク」も望める。右を見ても、左を見ても、振り返っても山。贅沢な景色に何度も足を止めながら、千頭星山の山頂を目指した。そして山頂直下までくると、後方には八ヶ岳、さらに遠く北アルプスまで望めた。