■事務所裏の深場にタナゴが集結!  実釣3時間で40匹を達成

この日は事務所裏の深場に多くのタナゴが身を潜めていた

 当日は晴天で風も弱く、小春日和を思わせる穏やかな一日であった。筆者は午前11時から半日券で釣りを開始した。常連客に状況を尋ねると、11月中旬までは西側にある「タナゴ桟橋」のポイントを中心に数釣りができたが、寒さで付き場が変わり、現在は事務所裏の深場に群れが集まっているという。

 実際に竿を出してみると、タナゴ桟橋周辺の反応は乏しい。一方、事務所裏の水深60〜80cmほどの深場ではタナゴがヒラを打ち、キラリと光る姿が見えた。まずは中層を探ろうと、ウキ下(親ウキからハリまでの長さ)を水深の半分に設定したが、糸ウキに変化はない。タナゴが底寄りにいると判断し、ウキ下を長く調整した。

 すると、親ウキは静止したまま、水中の糸ウキがかすかに横へ滑るように揺れた。典型的な冬の微細なアタリである。数回の空振りののち、ようやく掛かった最初の1匹は、冬らしいいぶし銀のメスのタナゴであった。

この日最初に釣れたのはメスのタナゴ。冬ならではのいぶし銀が美しい

 その後、エサ打ちを続けるうち活性が上がり、連続で釣れる場面もあった。冬のため色合いは控えめではあるが、虹色を帯びたオスも数匹姿を見せ、ひときわ目を引いた。ときおり小ブナの群れが入り込み、タナゴの群れが散ってアタリが止まることもあったが、再び群れが戻れば糸ウキは小刻みに揺れ続けた。

大きなオスのタナゴも姿を見せた。春〜秋の鮮やかな婚姻色には及ばないが、冬の落ち着いた装いも魅力的だ

 そんな静と動のリズムを何度も繰り返すうちに、時間はあっという間に過ぎていった。太陽が傾き、次第に寒さが強まり始めた午後2時半に納竿とした。およそ3時間の釣果は、本命のタナゴ40匹、クチボソ2匹、小ブナ1匹。冬としてはまずまずの釣果ではないだろうか。繊細なアタリを捉えるための親ウキの浮力調整や糸ウキの位置調整など、冬ならではの工夫を重ねて釣果を伸ばす工程がとても楽しく、満足度の高い釣行となった。

この日のタナゴ釣果は、実釣3時間で40匹
タナゴの美しさについ見入ってしまい、時間を忘れるひととき

 筆者が使用したタックルと道具は以下のとおりである。

使用タックル
ロッド:タナゴ竿 長さ140cm
仕掛け:タナゴ釣り用の連動シモリ仕掛け
エサ:タナゴ用のグルテンエサ(練りエサ)

あると便利な道具
小物用の針外し:魚に触れず釣り針が外せる
カウンター(計数器):釣果を数えるためのもの
練りエサ入れ:練りエサの乾燥を防ぐ
折りたたみ椅子:釣り場での腰掛け
水汲みバケツ:釣った魚を生きたまま一時的に入れておくもの
エアーポンプ:水汲みバケツに入れた魚に酸素を供給
小型の観察水槽:釣った魚を横から観察
手洗い用の水:ペットボトルに水道水を入れて用意
タオル:濡れた手を拭くため

■都心から近い冬の釣り場。年末年始は野田幸手園でタナゴ釣りを

釣り物が少ない冬に楽しめるタナゴは貴重な存在である

 今回の釣行では幸いにして好釣果に恵まれたが、冬のタナゴ釣りは日により状況が大きく変わることがある。釣行の際は、事前に近況確認しておくことを強くおすすめする。

 また、寒タナゴ釣りの要となるウキは風に弱い。風の強い日は水面が波立ちウキの動きの判別が難しくなるため、可能な限り風の弱い日を狙って釣行するのがよいだろう。

 さらに、冬の水辺では体感温度が下がりやすく、手足の冷えは集中力を奪う。防寒対策を十分に整え、長時間でも快適に過ごせる服装を用意したい。

 都心から近く、冬でも気軽に訪れられる野田幸手園。年末年始に友人や同僚と肩を並べ、小さなウキを眺めながら近況を語り合うには、このうえない環境である。静かな冬の水辺で、寒タナゴ釣りならではの穏やかな時間を過ごしてみてはいかがだろうか。

 

WakuWakuField 野田幸手園(入場料金、釣り案内、タナゴの釣り動画などの情報あり)https://satte-en.wakuwakufield.jp/

●【MAP】WakuWakuField 野田幸手園