◼️海外移住前に日本でやっておくべき手続き

市役所で海外転出の手続きをすると、このようにマイナンバーカードに明記される

 移住のタイミングが決まったら、まずは役所関係の手続きだ。

 海外転出届を出すと、マイナンバーカードに「国外転出」の記載が入る。日本の“住民”ではなくなる瞬間である。そして、自動的に国民年金や健康保険が停止される。すでに年払いで納めてしまっている場合は、自分で申請をして還付を受けることになる。住民税は前年の所得に応じて課されるため、移住後も支払わなければならない。

 郵便物の転送届も大切。海外転出届によって役所関係の郵便は止まるが、税金、銀行、証券、保険などはそうはいかない。電子化を進めても、郵便物をゼロにするのは難しそうだ。僕はすでに両親が他界して実家がないので、転送先は兄を頼ることにした。

 携帯電話も悩みどころ。解約してしまおうかとも考えたが、海外に住んでも日本の二段階認証にSMSが必要なことも多い。

 そもそも、僕はネパールに永住するつもりはなく、また日本に帰ってくることが前提の移住だ。となると、これまでの電話番号は維持し、最安のプランに変更することにした。

◼️大量の私物の保管場所問題は?

自分が所有する更地に物置を設置

 独り身ゆえに荷物は少ないほうだと思っていたが、実際に並べてみると驚くほど多い。

 家財道具は、粗大ゴミとして捨てたり、回収業者さんを利用して処分した。服もずいぶん捨てたし、書籍や雑誌もかなりの量を廃棄して断捨離に努めた。それでも、大事なアウトドアギア&ウェアや、愛読している書籍類 (絶版本や図録、カタログなど) は、どうしても捨てることができなかった。

 結果、そのすべてを収納するには、四畳半とまでは言わないが、二畳半ほどのスペースが必要になった。テント泊装備なら軽量化できても、生活の荷はそう簡単には削れないのだ。

 レンタル倉庫に預けるのが手っ取り早いが、毎月の賃料がかかる。せっかく身軽になろうとしているのに本末転倒だ。

 そんなときに思い出したのが、地元にある親から相続した小さな土地だ。早速、僕は物置を購入、設置し、すべての私物をそこにぶち込んだ。

◼️忘れてはならないのは、会いたい人に会っておくこと

ネパールでは7月から10月にかけてたくさんのお祭りが開催された

 前述の海外転出に際してのさまざまな準備 (段取り、手続き、処分など))は、3か月もあればできると思う。会社勤めをしながらでも、4〜5か月あれば十分ではないだろうか。

 個人的に一番大変だったのは、私物の処分だ。まずは、捨てる捨てないの判断に頭を悩ませたし、物置の設置や私物の移動においては、友人にもお願いして手伝ってもらった。

 そして移住前に忘れてはならないのは、会いたい人に会っておくこと。家族も含めて、次にいつ会えるかわからない。だから、北は北海道、南は鹿児島まで、いろいろな人に会いに行った。

 これでもう心配はない。僕は安心してネパール行きの飛行機に乗れそうだ。