■名人の自作バリの実力はいかに!? 市販バリとの釣り比べ
名人の自作バリの効果を確かめるため、市販バリと名人バリを交互に20分ずつ、計4セット(それぞれ80分)の釣り比べを行った。ハリ(ハリスも含む)以外の竿や仕掛けは同一とし、条件をそろえての実釣である。
結果は、市販バリが55匹、名人バリが77匹(いずれもタナゴのみの釣果)。どちらもアタリの数自体は変わらなかったが、名人バリはハリ掛かり率が高く、特に小型の新子がよく掛かった。まさに名人の狙い通りの結果であり、筆者もその差に驚かされた。
名人バリは途中までは快調そのものだったが、終盤に差し掛かるとバラシが増加。何十匹も釣るうちに、細軸の針先がわずかに開いてしまったことが原因と考えられる。予備がなかったため、手直ししながら、だましだまし使い続けるしかなかった。
名人バリは細軸ゆえに刺さりは抜群だが、耐久性にはやや難がある。その実力と繊細さを、身をもって体感する結果となった。替えのハリがあったらどれだけ釣れたのかと思うとやはりすごい。
筆者が使用したタックルと道具は以下のとおりである。
【使用タックル】
ロッド:タナゴ竿 長さ40cm
仕掛け:タナゴ釣り用の連動シモリ仕掛け
エサ:タナゴ用のグルテンエサ(練りエサ)
【あると便利な道具】
小物用の針外し:魚に触れず針が外せる
カウンター(計数器):釣果を数えるためのもの
練りエサ入れ:練りエサの乾燥を防いでくれる
折りたたみ椅子:釣り場での腰掛け
水汲みバケツ:釣った魚を生きたまま一時的に入れておくもの
エアーポンプ:水汲みバケツに入れた魚に酸素を供給するポンプ
小型の観察水槽:釣った魚を横から観察できる
手洗い用の水:ペットボトルに水道水を入れて用意
タオル:濡れた手を拭くために使用
■小さな魚と過ごす豊かな時間! 秋の霞ヶ浦でタナゴ釣りを楽しもう
釣りを終える頃、空はどこまでも澄み渡り、すがすがしい秋の光がホソの水面を包んでいた。湿度の低いこの季節は、霞ヶ浦の湖畔からでも筑波山の姿がくっきりと見える。湖上には北から渡ってきたカモの群れが浮かび、季節の移ろいを静かに告げていた。
手のひらに収まるタナゴは、透き通る体に淡い赤や青を帯び、光の加減で虹色に輝く。その美しさを眺めていると、この水辺で小さな命と向き合う時間こそが、何よりの贅沢であることに気づかされる。
今回取り上げた「市販の極小バリを削った加工バリ」や「一から手作りの自作バリ」は、やや値は張るものの、タナゴ用品を扱う釣具店やフリマサイトでも入手可能だ。興味のある方は、その精巧さと実力を一度試してみてはいかがだろうか。
【注意事項】
霞ヶ浦周辺の水田ではこれから年末にかけて各種農作業が盛んに行われる。軽トラや小型重機の出入りが頻繁になるので、釣り場近くに車を停める際には農作業の邪魔にならないようくれぐれも注意しよう。もちろん釣り場でのゴミのポイ捨てなども厳禁である。
霞ヶ浦・北浦では湖の堤防外にあるホソでの釣りは遊漁券が不要。ただし、桜川、常陸川、新利根川など一部の流入河川で釣りする際は遊漁券が必要になる。