長年、釣りを趣味にしていると、その季節が旬とされている魚を実際に釣りあげて季節を感じたいと思うことがある。秋に旬を迎える釣り物はいくつかあるが、筆者は水郷で楽しむ小ブナ(ギンブナやキンブナの子ども)釣りが頭に浮かんだ。
暑さも落ち着き、ようやく秋らしい陽気となった10月中旬に茨城県霞ヶ浦(かすみがうら)のホソ(霞ヶ浦と田んぼを繋ぐ小水路)で小ブナ釣りを楽しんできたので、その模様をレポートする。
■ホソの小ブナ釣りは、霞ヶ浦の秋の風物詩
今回筆者が訪れた霞ヶ浦のホソでは、毎年秋になると多くの釣り人が小ブナ釣りを楽しんでいる。その年の春にホソで生まれたフナの赤ちゃんは、夏の間にエサをたくさん食べてホソの中ですくすくと成長していく。
生まれてからおよそ半年が過ぎた秋になると、体長2~3cm(成魚は20cmほどになる)の「柿の種」と呼ばれるサイズにまで成長し、釣りの対象魚となる。食欲旺盛な彼らは釣りエサに対してもよく反応し、簡単に数釣りが楽しめることから大人気だ。ホソの小ブナ釣りは、霞ヶ浦に秋の訪れを知らせる風物詩となっている。
■秋は水量の多いハス田のホソがおすすめ
日本で有数の水郷地帯である霞ヶ浦周辺は昔から米とレンコン作りが盛んで、これらを栽培するための田んぼ(それぞれイネ田とハス田)とホソがいたる所に存在している。
稲刈りの季節である秋は、田んぼの水がすでに落とされて(排水されて)しまっているため、周辺のホソは水量が少ないことが多い。これに対してハス田はほぼ一年を通して水がはられているため、その脇を流れるホソも水量が多く安定している。
水量が少なく水が淀んでいるようなホソは、フナたちにとってあまり居心地のよい場所とはいえない。もし小ブナ釣りのポイントとして田んぼとハス田のどちらのホソを選ぶのか迷った場合は、水量が多いハス田周辺のホソを探るのがいいだろう。