■色と匂いはどう違う?

亜硝酸ナトリウムを使ったコンビーフの例

 では、亜硝酸ナトリウムを使ったコンビーフと、そうではないものを比較してみよう。まずは亜硝酸ナトリウムを使った伝統的な製法のコンビーフを開けてみる。

 赤みを帯びた肉のあいだに白い牛脂が混ざった、いかにもコンビーフらしい色合いだ。そして匂いにはハムやソーセージに共通する、熟成したような匂い(塩漬フレーバー)がある。

亜硝酸ナトリウム不使用(無塩せき)のコンビーフの例

 亜硝酸ナトリウムを使わない無塩せきコンビーフは、全体的に茶褐色だ。匂いには塩漬フレーバーのような熟成感がなく、ほのかに牛肉の臭みがある。とはいえ、加熱した牛肉なら必ず出てくる匂いであり、特段に嫌な臭いじゃない。

並べると色の違いがはっきりわかる

 両方の画像を並べてみると、色の違いがはっきりわかる。亜硝酸ナトリウムを使わないコンビーフは地味な色なので、従来の缶詰業界では「食欲をそそらない色」として避けられてきたのだ。

 しかし、今は嗜好が多様化し、ナチュラルな色や風味を好む人も増えている。なので、こうして従来品と新製品の両方が存在し、好みに応じて選べるのは嬉しいことだ。ひとつ難点を言えば、無塩せきコンビーフは従来品よりも価格が高いものが多く、おおむね1,000円くらいはする。ちょっとした贅沢品なのであります。