■縄文時代を体験できる「上野原 縄文の森」

次の目的地は「上野原 縄文の森」。ここは、国指定史跡の上野原遺跡という、縄文時代早期前半、約10600年前の大集落が発見された場所。敷地内には見学エリアと体験エリアが用意され、出土品や復元された集落を鑑賞したり、火おこしを体験したりできる。
発見された集落は、2つの道跡に沿って52軒の竪穴住居群のほか、石を熱して調理したと考えられている集石遺構が39基、火を焚いていた穴のある連穴土坑(れんけつどこう)が16基展開される大規模なもので、縄文時代の定住集落跡の遺跡としては国内最古・最大級を誇る。



見学エリアにある展示館では出土品を鑑賞できるほか、ジオラマやシアターなどざまざまな切り口で遺跡について知ることができる。縄文時代の集落や暮らしを再現したジオラマは非常に精密で、狩りの様子、調理をしている様子、家を建てている様子などがよくわかる。
重要文化財コーナーでは、約8600年前の縄文早期後葉の土器などを展示。さまざまな形や模様があって、これほど多種多様な土器が使われていたことに驚いた。また、上野原遺跡で出土した土器には円筒のほかに角型の筒状になった独特な形状が見られ、模様は縄目ではなく貝殻で施したものが多いという。縄文時代の遺跡は日本各地にあるが、南九州独自の土器など地域ごとに個性があることも発見だった。

見学エリアの屋外には約10600年前の森を再現し、竪穴住居などを復元した集落を散策することができる。また、集落跡の一部を発見当時のまま保存し、展示している建物もある。
このほか、体験エリアには展望スポットや人工の小川、アスレチック、体験学習館など遊べる施設が集まっている。



縄文人の暮らしを体験できるメニューは、火おこし、弓矢作り、アクセサリー作りなどいろいろとある。今回は、火おこしを体験してみると、道具がかなり本格的だった。
大きなコマのようなパーツがついたキリのような棒に糸が巻きつけられており、糸とつながる板を上下に動かすと棒が回転。下に置かれた穴の開いた板と棒の摩擦熱で火種ができる、というのは分かるが、木の板をうまく上下させるのにはコツがいるし、意外と力も必要だ。そして、棒をまっすぐ安定させるのもなかなか難しい。
そんな苦労をして火を上手におこせるとやっぱりうれしくなる。昔の人はこんなに手間をかけて火をおこしていたのだと実感できる、よい体験だった。