■宝篋山頂で迎える大パノラマ
出発からおよそ1時間半。標識を抜けると、いきなり視界が開け、広々とした山頂に到着する。そこに広がっていたのは、360度の大展望だった。眼前には筑波山の美しい双峰。標高877mの男体山と女体山が並んで立つ姿は堂々としており、山頂からはそのシルエットがひときわ映える。
南東に広がる霞ヶ浦から西のほうへぐるりと日光連山、関東山地から、晴れた日には富士山まで見ることができる。標高わずか461mの山から、これほどの大パノラマが楽しめるのは驚きだ。
山頂は広く、ベンチやテーブルも整備されている。お弁当を広げる人、写真を撮る人、双眼鏡を覗く人。それぞれが思い思いの時間を過ごしている。筆者もここで持参したおにぎりを頬張り、心地よい風を浴びながら筑波山の雄姿を眺めた。
筆者は1時間ほど山頂で休憩したのち、スローペースで1時間半ほどかけて小田休憩所に戻った。往復で約3時間半、歩行距離は7km弱。初めて登山に挑戦する人でも無理なく歩けるコースでありながら、しっかりと山の魅力を味わえる。
■低山ながら満足度の高い山
宝篋山は、驚きと満足感が得られる山である。整備された道、豊かな自然、歴史の名残、そして山頂からの圧倒的な絶景。アクセスも良く、日帰りで楽しむのに最適な山である。まだ観光地化がそれほど進んでいないため、混雑することが少ない点も魅力。人混みを避けて自然と向き合いたい人には最適の場所といえる。
筑波山を背景に新しい視点で茨城を味わう登山。次の休日には、ぜひ宝篋山の山頂に立ち、その景色を自分の目で確かめてほしい。
【小田休憩所から宝篋山コース】
小田休憩所(0:00)→ 極楽寺コース→ 宝篋山山頂(1:45)→ 山口コース→ 小田休憩所(3:30)
歩行距離:約6.8km
累積標高差:登り 約480m、下り 約480m
合計所要時間:約3時間30分
アクセス
JR常磐線「土浦駅」下車 → 関東鉄道バスで「小田東部」下車(約30分) → 徒歩で小田休憩所へ
車利用の場合は常磐自動車道「桜土浦IC」から約30分