■いざ、キャンパス見学へ

ただ、大学のホームページに書いてあるのはごく簡単な概要だけ。入学に必要なリアルな情報はほとんど見当たらない。そこで思い立ったのが現地確認だった。
2022年、コロナがようやく落ち着き、僕が2014年から個人的に続けているトレイル調査のため、西ネパールに行く予定になっていた。せっかくだから、カトマンズに戻ったついでにキャンパスを覗いてやろう、と決めた。
ネパールでは、ネットで調べた情報よりも、実際に自分の足で歩いて確かめることが重要だというのは、肌感覚でわかっていた。地図に描かれた道が、現地では崩れて通行止めなんてことは日常茶飯事。それは町でも同様で、Googleマップに載っていた店が、行ってみたらなかったなんてことも珍しくない。ならば、大学だって実物を見ておいたほうがいい。
■キャンパスで入学手順を教えてもらう

西ネパールからカトマンズに戻った僕は、ビソバサキャンパスへと向かった。Googleマップどおりの場所に、それは確かに存在していた。
「あ、さすがにあったか」と僕はちょっと苦笑いを浮かべた。

思い返せば、17歳のときに上京した僕はいくつかの大学を見学して回った。その頃の僕は判断基準など持ち合わせておらず、大学生になるという響きだけで舞い上がっていた。
今はどうだ。40代後半、冷静沈着でシビアな目を持っているはず……と思いきや、足取りは軽く、胸は高鳴り、まるで第二の思春期。浮き足立っている自分が、なんだか恥ずかしい。

「入学手続きについて知りたいんですが」と職員らしき人に声をかけると、親切に部屋を教えてくれた。
辿り着いた先には外国人用ブースがあり、ネパール人の男性職員が座っていた。入学の流れを尋ねると、手順が印刷された紙を見せてくれた。

入学のタイミングは年2回。夏(7月)と冬(2月)。「いつ入学するの? 次の冬? その次の夏?」と聞かれたが、「いや、まだ数年先なんです」と答えると、彼はちょっと驚いたように笑った。
学校は半年ごとに更新。半年で終える人もいれば、もっと長く学ぶ人もいるらしい。僕はそのとき「最低でも2年は必要だ」と腹の底で思った。半年、1年なんてあっという間に過ぎてしまう。
ちなみに学費は半年で500ドル。入学試験はない。年齢制限もなく、自国で高校卒業以上の学歴があれば誰でも入学できる。