山にはたくさんの巨岩・奇岩スポットがある。日常では見ることができないような、大迫力の大きな岩をトレッキングとともに楽しもう。

 今回は第2弾として、長野県の燕岳と木曽駒ケ岳を紹介したい。

■燕岳(つばくろだけ) 美しい世界が広がる「北アルプスの女王」

見どころ!
アルプスの峰々を一望する景色とイルカ岩をはじめとした岩が織りなす幻想的な世界

所在地:長野県 
標高:2,763m
高低差:1,301m
歩行距離:9.8km 
歩行時間:8時間30分
アクセス
 電車:JR大糸線・穂高駅からバスで約50分
 車:長野自動車道・安曇野ICから約1時間15分

長い年月をかけて風化したイルカ岩。いままさに水面から飛び出すような勢い

●美しき白い峰 北アルプスの女王

 山頂を白い花崗岩で覆われ、その美しさから「北アルプスの女王」の異名を持つ燕岳。山頂部に、イルカが海面から飛び出て今にもジャンプしそうなイルカ岩やメガネのように二つの穴が空いたメガネ岩など、ユニークな岩があり、燕岳の名物スポットになっている。岩を撮影しようとするとちょうど槍ヶ岳が構図に収められるのも嬉しい。

燕岳山頂直下は白い砂浜のような花崗岩に覆われている

 燕岳へのルートは中房温泉から登る合戦尾根を歩く道が一般的だ。道中に鎖や岩場などはないが、標高差が1,000m以上もあるので、決して楽な道のりではない。北アルプスの三大急登と呼ばれる急な道をひたすら登る。

日帰りだと時間もタイトなので、燕山荘に1泊するのもオススメ。運が良ければ美しい朝焼けも拝める

 途中の合戦小屋は9月の中旬まで、スイカを提供することで有名だ。ここで一休みして回復すれば、稜線まであっという間に感じる。

 稜線に出ると一気に視界が開け、北には燕岳山頂、目の前には鷲羽岳や双六岳、槍ヶ岳などの裏銀座を一望できる。南の遠方には富士山も見え、その壮大な景色には必ずや感動するはずだ。

稜線上からは対面の槍ヶ岳が眺められる

●燕山荘で優雅なスイーツタイムを

燕山荘で人気のケーキセット

 合戦尾根を登りきると稜線上には登山客に愛され続ける燕山荘が建っている。ここではぜひ人気のケーキセットをいただきたい。山の上で絶景を眺めながら優雅に食べる甘いケーキとコーヒーは地上の何倍も美味く感じる。

 

■木曽駒ヶ岳(きそこまがたけ) ロープウェイで行く「3,000m級の名峰」

見どころ!
雲のはるか上に鎮座する剣のように鋭い宝剣岳と大きな天狗岩

所在地:長野県 
標高:2,956m
高低差:345m
歩行距離:3.6km 
歩行時間:2時間50分
アクセス
 電車:JR飯田線・駒ヶ根駅下車、路線バスで約50分
 車:中央自動車道・駒ヶ根ICから約5分

千畳敷カールを登りきった宝剣山荘からみる天狗岩は確かに天狗の横顔に見える

●初級者も挑戦できる標高3,000m級入門の山

 ロープウェイを利用して、標高2,612mの千畳敷駅まで上がれば、稜線までは標高差260mの登山。千畳敷駅を降りれば、高山帯の岩肌の下になだらかな斜面が一面に広がっている。この景色は美しいボウル状に形成されているため、通称「千畳敷カール」と呼ばれている。

真っ赤に色づいた千畳敷カール。整備された登山道と八丁坂を登ればすぐに稜線だ

 木曽駒ヶ岳で訪れたいのは宝剣山荘から眺める天狗岩。雲上にそびえ立つ大きな岩が天狗の横顔に見え、木曽駒ヶ岳のなかでも展望スポットとなっている。

日帰りできる山だが、複数ある山小屋に宿泊して夕焼けや朝焼けを見るのもオススメ

 ロープウェイ山頂駅を出たらカール内の整備された遊歩道を歩いて、八丁坂の急登を登る。ロープウェイで一気に標高を上げてから歩き出すので、無理せずゆっくり登りたい。およそ60分歩けば、乗越浄土に到着だ。そこからは、360度遮るものがない広大な世界が広がる。すぐそばにある宝剣山荘の北側から南にある宝剣岳を眺めると、青空に突き出た大きな天狗岩がおでましだ。

 ここまできたならば、主峰木曽駒ヶ岳まで向かおう。緩やかな勾配で歩きやすく、大パノラマのなかを歩ける。

遠くには駒ヶ根の街並みも見える

●千畳敷駅までは1時間かかる

菅の平バスセンターからしらび平駅まで必ずバスで行く必要がある

 車でも公共交通機関でも、必ず菅の平バスセンターからバスに乗ってロープウェイ山麓のしらび平駅まで行く必要があるので、山上の千畳敷駅に着くまで移動だけでおよそ1時間かかることを予定に入れよう。