真夏の低地が猛暑に包まれる中、標高3,000m近い高山は別世界の涼しさを保っている。中央アルプス・木曽駒ヶ岳(きそこまがたけ・標高2,956m)は、その代表格だ。
今回はふもとの駐車場で車中泊をし、早朝にロープウェイで千畳敷駅まで登る方法で山頂を目指す。夏の強い日差しを避けつつ、澄んだ空気、高山植物の彩り、ライチョウとの出会い、そして登山道や山頂から眺める絶景を一気に味わえる山旅となった。
■車中泊から始まる山旅。空へ向かうロープウェイ

木曽駒ヶ岳登山の起点は、ふもとの菅の台(すがのだい)バスセンター近くにある駐車場。前日の夜に到着し、車内で仮眠をとって体を休める。天候や景色を想像しながら、装備の最終確認を行う時間も登山の楽しみの一つだ。
早朝4時台、外はまだ薄暗く、空気はひんやりとしている。この時間帯に行動を始めると、登山客の混雑を避けられ、静けさを存分に堪能できる。ロープウェイの「しらび平駅」行きバスの始発は7時だが、7月中旬から8月中旬、9月中旬から10月中旬のみ臨時バスが出ているので、早い時間に行動を開始できる。
「しらび平駅」に到着したら、そこからロープウェイで標高2,612mの「千畳敷駅(せんじょうじきえき)」へ。わずか数分の空中移動だが、車窓からは深い谷や日本アルプスの峰々が広がり、早くも登山への期待が高まる。
■色とりどりの高山植物と、心が澄む絶景

千畳敷駅前には氷河地形が作り出した千畳敷カールが広がり、夏にはコマクサ、チングルマ、ハクサンイチゲなどの美しい花を咲かせる高山植物が斜面を彩る。標高が高く気温が低いため、盛夏でも涼しく、澄んだ空気が一層景色を鮮やかに見せる。秋にはナナカマドやダケカンバが色づき、山肌全体が赤や黄色のグラデーションに変わる。青空とのコントラストは、思わず息をのむ美しさだ。
高山植物を撮影する際にはマクロレンズやマクロ機能を使って斜逆光で撮ると植物の立体感を感じて綺麗に撮れる。
また広角レンズでギリギリまで被写体に寄って背景に景色などを入れると、スケール感のある写真になる。いつもとちょっと違う写真を撮りたい人におすすめだ。