■朝日岳(あさひだけ)

ルート:日暮沢小屋 → 竜門山 → 竜門小屋(泊)→ 西朝日岳 → 朝日岳 → 小朝日岳 → 日暮沢小屋(1泊2日)
標高:1,871m  
所在地:新潟県・山形県
技術:★★☆☆☆  体力:★★★★☆
ポイント:東北の綺麗な避難小屋に泊まる

山々の鞍部に池塘を抱える朝日の峰々。初夏まで雪が残る

●南東北の山懐にひっそりと連なる、南北60kmの朝日連峰の主峰

 新潟と山形の県境に延びる、東北を代表する山岳縦走路だ。稜線に点在する避難小屋はどれも綺麗と評判で、そこに1泊して日本百名山の大朝日岳を踏む周回ルートを紹介しよう。

昼夜の気温差が激しいからか、紅葉の美しさも朝日連峰の魅力だ

 山形県側の日暮沢小屋から標高差約1,000mの尾根を一気に登る。急登が胸をつくが、目の前に広がる雄大な主稜線が足を軽くする。無人の避難小屋、竜門小屋に投宿(維持管理費2000円)し、山々を赤く染める夕日で疲れを吹き飛ばす。自炊道具のほかマットと寝袋を忘れずに。

長い年月をかけて豪雪に削り取られた稜線や尾根は、鋭利だ

 翌日は主稜線を大朝日岳へ縦走する。山と山の鞍部には、草紅葉や池塘が広がり、何度も足を止められる。鏡のような池塘に映える鋭鋒のなんて美しいこと。長い冬の準備を始めた稜線から深く切れ落ちた沢まで、すべてがカラフルに染まり目を見張る。大朝日小屋にバックパックをデポして、ひときわ綺麗な円錐型の大朝日岳へ。山頂からは、歩いてきた主稜線や飯豊連峰、鳥海山など東北の名峰を望み、奥深い東北の峰々への再訪を誓うことになるだろう。

●MAP

■飯豊連峰(いいでれんぽう)

ルート:御沢野営場 → 三国岳 → 切合小屋テント(泊)→ 飯豊山 → 御西岳 → 梅花皮小屋テント(泊)→ 北股岳→ 門内岳 → 梶川尾根 → 飯豊温泉(2泊3日)
標高:2,105m(飯豊山) 
所在地:新潟県・山形県・福島県
技術:★★☆☆☆  体力:★★★★☆
ポイント:テント、避難小屋どちらでもOK!

夏の池塘群と飯豊連峰の最高峰である大日岳(右・標高2,128m)

●3県を分つ稜線は天空の散歩道。悠久の東北ナンバーワン山岳縦走路へ

 新潟、山形、福島の県境に延びる飯豊連峰は、ハイカーなら誰もが憧れる東北屈指の人気縦走路だ。標高はそれほど高くないが、麓から一気に標高を上げるダイナミックな尾根や大木が生えない森林限界の広さ、南東北の山深さを感じる眺めなど、一歩足を踏み入れればここがスペシャルな山域だとわかる。

稜線へ続く尾根にはブナの美林が広がる。豪雪が育む森にうっとり

 登山口までが遠いので、できれば御沢野営場に前泊して翌朝から歩き出したい。地蔵山へ続く尾根は、立派なブナに覆われ、登山者を歓迎してくれる。ここをスタートとしたのはこのブナを見たいから。ちょっとした岩稜帯を抜けると、3県の県境となる三国岳が避難小屋を抱えて聳える。

見渡す限り人工物のない山並みが幾重にも続く。まさに秘境

 切合小屋で英気を養い、2日目に日本百名山・飯豊山に登頂。ここではじめて日本海へ続く北飯豊の稜線が見える。高山植物と池塘が足元を飾り、歩行ペースはゆっくりに。美味しい清水が湧き、綺麗な二階建ての広くて快適な梅花皮小屋に投宿。夕日が沈む日本海を望みながらのテント泊は格別だ。

●MAP