日本に富士山があってよかった。友達に誘われて。興味本位で。一生に一度は。富士登山のキッカケがどんな理由であろうとも、その一歩は登山への入り口だ。これから先には楽しさしかない。登山に対するイメージはどんどんよくなるはず。あの富士山に登ったのだから。さあ、世界に誇る日本登山のネクスト・ステージへ。
■AFTER Mt.FUJI をこんな視点でCHOICE!
地形、食生、風景、文化……。いろいろな顔を持つ多様性こそ日本の魅力である。富士山にはない要素、富士山に似ているけど風土に溶け込む個性的な山など、AFTER FUJIを紹介しよう。
本記事では、その山の持つ特徴として「美林を楽しむ山歩き」を紹介。
海に囲まれた島国日本は、温暖湿潤な気候のため生態系が豊かだ。とくに人の手が入らない山岳地帯はありのままの自然が眠っている。歩いたものだけしか見ることができない巨木、山中で泊まらないと辿り着けない原生林……。森を知ると山歩きが楽しくなる。
乾いた富士山にはない、瑞々しい森が広がる山へ。まぶしい新緑と紅葉に囲まれた山歩きこそ日本登山の新骨頂だ。
■上高地(かみこうち) 外国人観光客にも大人気!
ルート:上高地バスターミナル → 河童橋 → 明神館 → 嘉門次小屋 → 西糸屋山荘 → 田代橋 → 大正池(日帰り)
標高:1,500m
所在地:長野県
技術:★☆☆☆☆ 体力:★☆☆☆☆
ポイント:北アルプスの核心部を望める別天地

●北アルプスへ続く玄関口 標高1,500mに広がる天空の楽園
北アルプスの峰々をめざす登山者の玄関口として、また穂高連峰の絶景を一目見たい観光客の景勝地として、年間120万人もが訪れる山岳リゾート地。明治時代、夏の間だけ馬や牛を放牧させる牧場として開かれ
た歴史を持つ上高地は、いまや牧歌的な雰囲気はなく賑やかだ。

自然環境を守る観点からマイカー規制が敷かれ、バスかタクシーでしかアクセスできないという非日常も人を集める理由かもしれない。バスを降りた人はまず、上高地のシンボルとも言える河童橋をめざす。澄みきった梓川の流れの上に立つと、視界がドーンと開け穂高連峰の山並みが青空に浮かぶ。遠近感が掴めないダイナミックな景観はここでしか味わえない山岳風景のひとつである。その梓川沿いには遊歩道が整備され、森林浴はもちろんのこと、池めぐりや湿地散策など高所の植生を満喫できる。


森のなかから人慣れした猿の親子が顔を出すことも。太陽が傾き、すべてのものが陰影をまとう朝夕の穂高連峰はまた格別。天気がよければ1泊したいところ。来訪者がさまざまであるから、宿泊施設もキャンプ場から山小屋、上高地帝国ホテルまで多種多様。梓川に沿って小梨平、徳沢、横尾と3つのキャンプ場が整備されており、山に登らなくても、平坦で自然豊かな探索路を歩けば北アルプスの雰囲気を感じられるだろう。少し山に登りたいなら山小屋が2軒ある涸沢へ足を延ばすのもいい。次なる山旅の計画が一気に広がるだろう。

Editor's Eye:はじめてのテント泊におすすめ
河童橋から歩いて5分のところに小梨平キャンプ場がある。穂高連峰を枕に一夜を過ごし、2日間かけてゆっくり上高地を堪能してみては!
●MAP
