日本に富士山があってよかった。友達に誘われて。興味本位で。一生に一度は。富士登山のキッカケがどんな理由であろうとも、その一歩は登山への入り口だ。これから先には楽しさしかない。登山に対するイメージはどんどんよくなるはず。あの富士山に登ったのだから。さあ、世界に誇る日本登山のネクスト・ステージへ。
■AFTER Mt.FUJI をこんな視点でCHOICE!
地形、食生、風景、文化……。いろいろな顔を持つ多様性こそ日本の魅力である。富士山にはない要素、富士山に似ているけど風土に溶け込む個性的な山など、AFTER FUJIを紹介しよう。
本記事では、その山の持つ特徴として「地元に愛される〇〇富士」を紹介。
美しい円錐形の独立峰は、日本各地に見られ、それらは〇〇富士と呼ばれ地元に親しまれている。富士山と同じように山岳信仰の舞台として、五穀豊穣や無病息災の祈りと共に地域と密接につながっている。日本中の〇〇富士をめぐるときは、日本を知る旅になる。
わが郷土にも富士山がある。どしっと裾野を広げ、空をつんざき、円錐型で美しい山容。富士山の次に登るなら、富士つながりで、日本百名山の郷土富士へ。
■羊蹄山(ようていざん)
ルート:比羅夫登山口 ←→ 9合目 ←→ 噴火口を時計回りで一周(日帰り)
標高:1,898m
所在地:北海道
技術:★★☆☆☆ 体力:★★★☆☆
ポイント:どこから登っても同じ行程

●空をつんざく蝦夷富士。道南のシンボルは女山?
支笏洞爺国立公園西端に位置する羊蹄山は、均整のとれた美しいプロポーションから「蝦夷富士」の名で親しまれる成層火山だ。アイヌ語で「マチネシリ」(女山)と呼ばれ、「ピンネシリ」(男山)=尻別岳とともに夫婦山とされる。

どちらも男らしい山容ではあるが、羊蹄山山頂に大きな噴火口があるからか? 東西南北から4つの登山道が整備され、どのコースも4~5時間かかり苦楽はほぼ均等。コースタイムからもきれいな円錐形だということがわかる。西斜面に延びる倶知安コースがもっともポピュラーで、倶知安駅からアクセスのいいルートだ。比羅夫登山口の標高は350mで、山頂まで標高差1,548mをひたすら登るなかなかハードな山道だ。

登るペースは富士山のようであるが、生態系は一級品。頂上付近には約80種類の高山植物が咲き誇る。頂上からは、太平洋の噴火湾から積丹半島の日本海、南は洞爺湖と駒ヶ岳、遠くに日高山脈まで、飽きることのない大展望を楽しめる。
●MAP
