日本に富士山があってよかった。友達に誘われて。興味本位で。一生に一度は。富士登山のキッカケがどんな理由であろうとも、その一歩は登山への入り口だ。これから先には楽しさしかない。登山に対するイメージはどんどんよくなるはず。あの富士山に登ったのだから。さあ、世界に誇る日本登山のネクスト・ステージへ。
■AFTER Mt.FUJI をこんな視点でCHOICE!
地形、食生、風景、文化……。いろいろな顔を持つ多様性こそ日本の魅力である。富士山にはない要素、富士山に似ているけど風土に溶け込む個性的な山など、AFTER FUJIを紹介しよう。
本記事では、その山の持つ特徴として「複数の頂を踏む連峰」を紹介。
いくつもの頂を越え、アップダウンを繰り返す山道は、歩いてきた道を振り返る充実感に満たされる。ロングトレイルとも呼ばれる衣食住を背負って日を跨ぐ歩き旅は、登山の醍醐味である。朝日、雲海、夕陽、星空…… 自然はいろんな顔で迎えてくれるだろう。
■四国アルプス 西日本最高峰の日本百名山をめざす
ルート:東平 → 銅山峰ヒュッテ → 笹ヶ峰 → 丸山荘でテント(泊)→ 伊予富士 → 瓶ヶ森 → 瓶ヶ森避難小屋テント(泊)→ 石鎚山 → 今宮登山口へ下山(2泊3日)
標高:1,982m
所在地:愛媛県・高知県
技術:★★★☆☆ 体力:★★★★☆
ポイント:神が祀られた峰をつなぐ山旅

●東洋のマチュピチュと百名山を結ぶ、自然と歴史を満喫ロングトレイル
西日本最高峰の日本百名山・石鎚山から東へ派生する稜線は「石鎚連峰」、ときに「四国アルプス」などと呼ばれる。日本二百名山の笹ヶ峰(標高1,859m)や三百名山の伊予富士(1,756m)、瓶ヶ森(1,896m)が続く、歩きごたえのある縦走路だ。一般的なコースタイムで計算すると2泊は欲しいところ。特別な登攀技術は必要ないが、ルートファインディングやプランニング力が求められる山域だ。なぜなら道標と水場は少なめで、登山道はクマザサに覆われ不明瞭、稜線は太陽を遮る森がない。ベストシーズンは涼しい晩秋か、春先がいいだろう。

さて、スタートは標高750mの山間にある“東洋のマチュピチュ”と称される東平から。石を積み上げた別子銅山の産業遺産群が当時の賑わいを彷彿とさせる。ジリジリと標高を上げながら小さなアップダウンを繰り返し、初日は笹ヶ峰直下の丸山荘のテント場に投宿。2日目は比較的余裕があるので、ゆっくり出発して縦走を楽しもう。伊予富士は独立峰ではないが、山頂部が綺麗な円錐形をしていて大展望が人気の山だ。すぐに瓶ヶ森林道が登山道と並行に走り、エンジン音にがっかりさせられるが、雄大な稜線が慰めてくれる。


最終日は、ついに車道を歩かされるが、憧れの石鎚山を目指すとなれば風が背中を押してくれる。ラストの石鎚神社から山頂の天狗岳までは危険な岩場が続くので慎重に。3日間歩いてきた山々を振り返れば、疲れを吹き飛ばす充実感に満たされる。

Editor's Eye:霊山ゆく修験者になる
長く歩くときはゴールに深みを持たせることが大切だ。それが歩くモチベーションになる。日本七大霊山&百名山を終点とすれば、誰もが古の修験者になる!
●MAP
