■釣り初心者でも“金の味”に出会える

釣り経験がなくても金アジを狙うことは可能だ。挑戦したのは「ショットガンアジング」と呼ばれる方法である。アジの群れの中へ複数の疑似餌をつけた針を一気に落とし込み、次々と釣り上げる動作がショットガンの散弾で標的を狙い撃つ様子に似ていることから「ショットガンアジング」と名付けられた。従来のコマセを使い、ゆっくりとした動きでアジが寄ってくるのを待つスタイルとは異なり、アクティブな釣法である。
ショットガンアジングはおかっぱり(陸釣り)でも挑戦できるが、アジが岸沿いに集まるタイミングを見極める必要がある。そのため今回筆者は魚群探知機を使って群れの位置をピンポイントで狙い、効率的で安定した釣果が望めるボート釣りを選択した。
エサを使用しないため、臭いがほとんどなく、準備や片付けも簡単という利点がある。コマセ特有の強い臭いが苦手で釣りに抵抗を感じていた筆者にとって、大きな心理的ハードルを取り払ってくれた釣法でもある。またコマセを食べていないため、持ち帰ったアジの内臓にエサ臭さが残らず、調理時に台所が生臭くならないのも魅力だ。アジの活性が高い時期には一度に2〜3匹かかることもあり、短時間で十分な釣果が期待できる。
活性が低い時期や群れが散っている状況では釣果が伸びにくいという弱点はあるものの、条件が整えば誰でも効率的に金アジを釣り上げることができるのだ。
都市近郊にありながら、これほどまでに質の高い魚が育つ東京湾。海の豊かさと日本の自然の奥深さを改めて感じさせてくれる。
高級魚を買うだけでなく、実際に釣り、おいしさを味わう。そんな体験を、ぜひ東京湾の金アジで楽しんでみてはいかがだろうか。