■富士登山前に知っておきたい“紫外線対策”の基本

登山には必須の日焼け対策グッズ

 登山当日の天候にかかわらず、紫外線対策は必須装備のひとつと考えるべきだ。以下に基本の対策を紹介する。

●帽子

 広いつばのあるタイプであれば、顔全体と首の後ろまでカバーできるため理想的。キャップ型を使う場合は、手ぬぐいや、サンシェード(ネックガード)を組み合わせ首の後ろまで守れる工夫を。最近よく見かけるようになった日よけの布が付けられるタイプを選ぶのもよい。

筆者はキャップ型の帽子に手ぬぐいを頭にかぶるか、首に巻くことが多い

●日焼け止め

 強い紫外線にさらされる登山では、SPF50+・PA++++といった高機能な日焼け止めを選ぶのが望ましい。SPFとPAは、いずれも紫外線を防ぐ効果の程度を示す指標である。

 ただし、実際の効果は発汗や摩擦、塗り直しの有無などによって大きく左右される。汗や水に強いタイプを選び、数時間おきに塗り直すことが重要である。日焼け止めには、クリームタイプ、スティックタイプ、スプレータイプなど、さまざまな形状があるため、使用シーンや肌質に応じて使い分けるとよい。

●サングラス

 標高の高い場所では、目にも強い紫外線が降り注いでいる。紫外線は角膜を傷つけ、紫外線角膜炎(雪眼炎)や慢性的な目の疲れ、白内障のリスクにもつながる。

 そのため、UVカット仕様の登山用サングラスの着用も、実は重要な紫外線対策のひとつだ。強風時の砂ぼこりや小石から目を守る役割もあり、登山中の快適さも向上する。

●アームカバーやフェイスカバー

 「暑いから」といって半袖短パンで登ると、下山後に後悔することも。アームカバーやフェイスカバーを併用すれば、直射日光を避けつつ、風通しを確保しながら歩ける。吸汗速乾性のある素材を選べば、夏山でも快適だ。

直射日光を避けつつ、風通しを確保しながら歩くためのアイテム「アームカバー」

■万全な対策で後悔のない登山を

浅間大社奥宮入り口の鳥居

 富士登山は、想像以上に体への負担が大きいと身を持って体感した。なかでも“見えない敵”である紫外線は、命の危険に晒されることはないが、下山後に後悔することに。せっかくの山行を気持ちよく終えるためにも、天候にかかわらず紫外線対策は万全にして臨んでいただきたい。