7月中旬に行った和歌山への旅で、ずっと気になっていた熊野古道を初めて歩いてきました。今回選んだのは、熊野古道の中でも比較的短時間で歩ける「大門坂」から那智山を巡るルートです。ゆっくり写真を撮りながら歩き、トータルの所要時間は約3時間。
平安時代からの1000年という歴史を感じる石畳が美しい「大門坂」を登り、朱色が映える熊野那智大社、那智山青岸渡寺を経て、壮大な那智の滝と熊野古道の見どころをギュッと詰め込んだ“いいとこ取り”のコースでした。初めての熊野古道歩きにはぴったりだと思います。
■アクセス:車なら大門坂駐車場が便利
私たちは和歌山県内をレンタカーで移動していたので、大門坂駐車場(無料)を利用しました。和歌山県道46号線沿いにあって分かりやすく、駐車場からすぐ石畳が始まるので、初めてでも迷いません。電車の場合は、JR紀伊勝浦駅からバスで約20分、大門坂バス停で下車すると駐車場の目の前に着きます。


■杉並木と石畳の大門坂を歩く、これぞ熊野古道


9時45分に歩き始め、約1時間で熊野那智大社に到着しました。樹齢数百年の杉が左右に並ぶ大門坂は、苔むした石畳が続き、まさに“熊野古道を歩いている”という雰囲気。階段状の石畳は滑りやすいので、慎重に一歩ずつ進みました。
訪れた日の最高気温は30℃を超え汗だくでしたが、初めての熊野古道を歩ける感動が大きく、「1000年前にこの道を一生懸命作ったんだな」と平安時代の人々の思いを想像しながら、約650m、267段を登り切りました。
■神社とお寺が隣り合う神仏習合の名残


大門坂を登り終え、熊野那智大社の立派な鳥居をくぐってさらに階段を上がると、鮮やかな朱色の熊野那智大社がお出迎えしてくれました。那智大社は、熊野三山の一社として全国5000社余の熊野神社の総本社です。すぐ隣には青岸渡寺があり、神社とお寺が並んでいる光景が珍しく、印象的でした。
この2つはもともと神と仏とを一体的に信仰する「神仏習合」(しんぶつしゅうごう)という思想で、熊野信仰の中心地として人々が祈りを捧げてきた場所。実際にその空間に立ってみると偉大なパワーをもらえるように感じました。
