熊野古道の名は、関西に住んでいなくても、「聞いたことがある」という人が多いだろう。黄泉がえりの聖地とされた熊野三山(熊野本宮大社・熊野速玉(はやたま)大社・熊野那智(なち)大社。いずれも和歌山県に位置する)を詣でるために各地から参詣に訪れたのが熊野古道で、その歴史は平安時代からだとされる。
いくつかルートがある中でも熊野参詣道として世界遺産に登録されているのは「中辺路(なかへち)」、「大辺路(おおへち)」、「小辺路(こへち)」の3ルート。
筆者は中辺路を歩いたことがあるのだが、出発前までは観光地というイメージからそんなにきつくないルートを想定していた。しかし、予想に反した出来事が多々あり、普段山歩きをせず、歴史を感じたいという一心で熊野古道に挑戦する人にとっては、ただただしんどい山歩きになってしまう可能性もあるなと感じた。そのため、景観が美しいのはもちろんだが、予想以上にキツい山歩きだったことについて紹介したい。
■予想以上にアップダウンの激しい山道が多い
整備された歩きやすい登山道もあるのだが、意外にもアップダウンの激しい自然のままの山道もあり驚いた。今回筆者はローカットの登山靴で挑んだが、長距離歩行での足裏やふくらはぎの疲労を考えると、靴選びは非常に重要になる。また、足首をくじく恐れもあるため、サポート性の優れるミドルカットの靴を筆者はおすすめしたい。もちろん、滑りにくいアウトソールであることは大前提の上だ。
■1日に歩く距離が長い
歩くコース、日程にもよるが、今回は中辺路の滝尻王子(たきじりおうじ)から熊野本宮大社までの約40kmを1泊2日で歩いた(熊野古道のコースの中では中級レベル)。コース概要は1日目に12km(累積標高差約900m)、2日目28km(累積標高差約1700m)だったので、特に2日目は距離、累積標高差ともにかなりのものになったのが驚きだった。