■恐竜の足跡化石が展示されている「小谷村郷土館」

「小谷村名産館」と隣接する「小谷村郷土館」は、村の歴史や伝統について知ることができる施設。長野県天然記念物に指定されている日本最古の恐竜の足跡の化石が展示されているというので、食後に訪れることにした。
茅葺屋根の施設はかつて村役場として使われていたもので、さらに古くは庄屋だったのだという。建物に入ると、村内で発見された「恐竜足跡化石」がメイン展示として置かれ、地層から切り出したという大きな岩盤に恐竜が踏みしめた足跡がしっかりと残っている。


展示を見て回ると、小谷村には縄文時代から人が暮らしている足跡があると知ってびっくり。また、村は日本海から長野県中部に塩を運んだ「塩の道」とも呼ばれる千国街道(ちくにかいどう)が通り、信州と越後を結ぶルートだったことから戦国時代には戦乱の舞台になったことなど、さまざまな歴史を知ることができる。雪国の暮らしを伝える郷土品も多く、小谷村に伝わる災厄除けの行事「十三月」の木札なども展示されている。
■こだわりの日用品と出会える「紡ぎ舎」

古くから人の暮らしが営まれてきた小谷村には、古民家をリノベーションしたお店が点在し、こだわりの日用品を集めたセレクトショップ「紡ぎ舎(つむぎや)」は、蔵を改築したというお店。国道から姫川の支流、土谷川沿いに通る道を進んだ場所にあるこのお店のオーナーは小谷村の出身。
高校卒業後に村を離れ、就職後は海外を点々としていたため、「日本のよさや物づくりのすばらしさにあらためて気づいた」のだという。2020年に夫婦で村へとUターンし、2022年にこの店舗をスタートさせた。オープン前から夫婦で日本各地をめぐり、日用品などの作り手に会い、実際に商品を使って、その中から本当によいと思ったものをお店に置いているという。


よい品に出会うためオーナー夫婦がめぐった場所は、北は青森、南は九州まで。そこで見つけた品々は、陶器や漆器などの食器類や調理器具などのキッチン用品をはじめ、タオルやスリッパといった日用品、バッグなどの小物、文具に至るまで多岐にわたる。そんな厳選された日本の日用品を実際に手に取ってみると、機能美や繊細な手仕事に改めて感動させられる。
添加物が使われていない食品や調味料も揃い、料亭やそば屋で醤油や、風味豊かなみそ、琥珀色をした白だしなど、「料理がおいしくなりそう」と心惹かれる品が多い。



夏でも清涼な高原リゾートに滞在しながら、土地の味覚や温泉を満喫し、村内のおしゃれなカフェや食事処でグルメも楽しめる小谷村。今回の旅を通して、心地よい静けさのなかでスローライフを満喫できることが、この村の魅力なのだと改めて実感できた。
【撮影モデル】大島ひなの
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