■古民家をリノベーションした「Café 十三月」

さて、今回の旅のメインは小谷村の観光。村内には姫川やその支流に沿って53の集落が点在し、「Hakuba Valley」の中心部よりも喧騒が少ないのどかな地域だ。主要な交通機関は、姫川沿いを走る国道148号線とJR大糸線。ここだけ通ると、観光施設はまばらな印象に感じるが、国道からちょっと道をはずれると隠れ家的なカフェや飲食店に出会うことができる。そのひとつが、姫川の支流、中谷川沿いの道路を上がったエリアにある「Café 十三月」だ。

築150年の古民家を改築したというカフェは、東京出身のオーナー夫婦が移住し、2016年に開業したお店。建物の中に入ると、土間らしきスペースにカウンターが設えてあり、天井の梁から吊り下がるさまざまな形のライトがオレンジ色の光で店内に温かみを与えている。
十三月とは小谷村に伝わる災厄除けの風習で、小正月に「十三月」と書いたクルミの木札を家の前に掲げておくと、正月のおいしいものを目当てに来た鬼が、「まだ1月ではなかった」と帰っていくのだとか。「じゃあ、翌月にまた鬼が来ちゃうのでは?」とオーナー夫婦にたずねると、「2月は節分だから豆まきで撃退しちゃう」と笑顔で答えてくれた。


カフェでは、自家焙煎のコーヒーと月替わりで変わるスイーツを提供。夏はかき氷がイチ押しメニューで、シロップはすべて自家製だ。定番のシロップは、宇治金時やあずきみるく。果物を使ったものは、地元で栽培されているラズベリーやあんず、ももなどを旬に合わせてシロップが変わっていく。また、地元食材を取り入れた南インドカリーなど、こだわりの料理も見逃せない。
■多彩なフレーバーが揃う「オタリアンジェラート」

もうひとつ、小谷村で気になるスイーツショップが「オタリアンジェラート」。このお店も中谷川沿いの道路を上がったエリアにあり、近くにあるお蕎麦屋さんが営んでいる。長野県産の素材を使ったジェラートが揃い、自家焙煎のそば粉を使った「そばジェラート」はそばの実のトッピングが食感にアクセントをプラス。ほかにも、地酒の酒粕、小谷産の焦がししょうゆ、信州産ルバーブなど、ほかではなかなか味わえないジェラートが日替わりで並ぶ。



テイクアウトはコーン、イートインでは陶器の器でジェラートを提供。イートインの場合はトッピングとして、みそ味か黒ごまきなこの手作りワッフルコーンがトッピングとして付いてくる。シングルをはじめ、ダブルやトリプルまで注文できるので、気になるフレーバーをいろいろ味わうことが可能だ。
店内には、コースターやバッグといったハンドメイドの小物や、青トウガラシを使ったこしょうみそ、地元で「ちゃんめろみそ」と呼ばれているふきみそなどを販売するコーナーもあり、アットホームな雰囲気だ。
■「小谷村名産館」の名物はそばと熊肉!?

めずらしいグルメとして、今回のランチに選んだのが「小谷村名産館」だ。村のメインロード、国道148号線に面しており、施設名からはショッピングスポットをイメージするが、このお店は地元でも人気のおそば屋さんなのだ。そばのほかに、カツ丼やソースカツ丼、カレー、ラーメンなども味わえるので、定食屋のようなアットホームさがある
そして、このお店の特徴は、ご主人が猟師なので、自分で捕獲したジビエ料理の熊肉を提供していること。店内には熊の毛皮も飾られている。


「おそばも食べたいけど、熊肉もトライしたい」という希望にぴったりなのが「ざるそば+ミニ熊肉カレー」だ。小谷産のそば粉を使ったそばはその日に打ったもの。コシがあってそばの風味をしっかり味わえる。
カレーに入っている熊肉は、「食べやすいように臭みなく仕上げている」とご主人がいうように、クセがなくよくに煮込まれていてやわらかい。

店内は名産品の販売コーナーも併設し、小谷付けや米みその山姥みそ、Tシャツなどが並んでいる。「熊の油」なんてものも売られており、保湿性があるので肌荒れしたときに塗るといいのだとか。昔は脂身を冷凍してそのまま塗っていたそうで、「特にしもやけに抜群にいい」とお店の方が教えてくれた。