■重要無形民俗文化財登録の「檜枝岐歌舞伎」

村人が演じる農村歌舞伎は戦前までは日本各地で見られたが、現在まで伝承されているのは檜枝岐村などわずかしかないという

 また、檜枝岐村自体も見どころが多い魅力的な地域でもある。有名なのが、江戸時代から続いている「檜枝岐歌舞伎」だろう。村人がお伊勢参りの道中で観た歌舞伎を村に伝えたのがはじまりとされ、演者から裏方まで上演はすべて村民が行なっている。その伝統を連綿と繋いできた村民歌舞伎は、福島県の重要無形民俗文化財に登録されている。

 歌舞伎の上演場所は、村を守っている鎮守神社の境内の「檜枝岐の舞台」。継承する団体は「千葉之家花駒座」と駒の名が入り、村のシンボルである会津駒ヶ岳との関わりも深い。

 上演は年3回。5月12日に「愛宕神祭礼奉納歌舞伎」、8月18日に「鎮守神祭礼奉納歌舞伎」、そして9月第1土曜日に「歌舞伎の夕べ」が行なわれる。

山の傾斜に石積みで作られた観客席も歴史を感じさせる
大火で消失し、明治30年頃に再建された茅葺き屋根の「檜枝岐の舞台」。国の重要有形民俗文化財に指定されている
伝承を繋いできた「檜枝岐歌舞伎」

■キャンプや渓流釣りも楽しい

ブナやカラマツの森の中に囲まれたキャンプ場は涼しくて湿度も低く快適

 自然豊かな檜枝岐村では、キャンプや渓流釣りも楽しめる。村内を流れる檜枝岐川に沿って7つのキャンプ場が点在し、川からの涼しい風と、標高の高さがもたらす清涼な気候のなかで快適に過ごせる。

 フィッシングポイントも豊富で、いずれも尾瀬の雪解け水を源流とする川で渓流釣りを堪能。渓流釣りビギナーや子どもでもトライしやすい釣り堀もあり、釣ったイワナを塩焼きで味わうことも可能。

村内のキャンプ場はどこも車でアクセスしやすいので便利
広い流域でルアーやフライなどさまざまな渓流釣りを楽しめる
檜枝岐村の自然で遊ぶ

■尾瀬の自然がもたらす村の温泉

源泉かけ流しの単純硫黄泉を単独使用している「燧の湯」。露天風呂から舟岐川が見える

 檜枝岐村は尾瀬にもっとも近い人間の生活圏となるため、尾瀬の自然とのかかわりは密接だ。村に湧く温泉も、豊かな尾瀬の水がもたらす恩恵のひとつ。

 村内ではすべての旅館・民宿で温泉に入浴可能。さらに、日帰り利用できる公共浴場も「燧の湯」「駒の湯」「アルザ尾瀬の郷」の3つがある。尾瀬ハイク&登山の帰りに檜枝岐村の温泉でリフレッシュできるので快適だ。

肌に優しいアルカリ性単純泉の源泉かけ流しの「駒の湯」。駒ヶ岳の名を冠し会津駒ヶ岳の下山後にぴったり
「アルザ尾瀬の郷」は、温泉とプールが楽しめる総合温泉スポーツ施設。新緑が広がる浴槽からの眺めも格別
村内に点在する3つの公共浴場

■真夏に雪まつりがある!?

真夏なのにそり遊びができる非日常感が楽しい!
雪上でスイカ割りをするという、冬と夏の両方の風物詩を織り交ぜた大会は子どもに大人気

 超豪雪地域でもある檜枝岐村では、冬のあいだに集めた雪を約4か月間保管し、暑さが強まる8月に「真夏の雪まつり」を開催。毎年恒例のこのおまつりでは、尾瀬檜枝岐温泉スキー場に集めた雪を広げて真夏にそり遊びを体験できる。

 ほかにも、雪上スイカ割り大会やかき氷早食い大会、マジックショー、花火の打ち上げなどイベントが盛りだくさん。飲食ブースや売店も用意されている。2025年の開催日は8月2日と3日だ。

スキー場山麓に雪原が現われる「真夏の雪まつり」
初日の夜は打ち上げ花火大会も開催。夜までたっぷりイベントを楽しめる
「第33回真夏の雪まつり開催」をcheck

 奥会津の最果て、檜枝岐村は日本一人口密度が低く、約500人の住民がひっそりと暮らしている。そんな谷あいの村の暮らしには、尾瀬の自然と共存しながら、独特な歴史や伝統、文化が息づいている。深堀りすればするほど魅力があふれてくる檜枝岐村に、尾瀬ハイク&登山とともにぜひ立ち寄り、ときには滞在してみるのもおすすめだ。

檜枝岐村の魅力をもっと知ろう!