富士山は7月より登山シーズンを迎えた。山梨県側の登山ルートは、富士スバルライン5合目をスタート地点として登頂を目指す人が多数だが、実は5合目までの麓エリアにも、豊かな自然やパワースポットなど見どころが多く存在する。今回は、登頂だけではない富士山麓の楽しみ方を、富士北麓に移住し観光振興にも携わった筆者が紹介する。
■富士登山の出発点はここ! 世界遺産構成資産「北口本宮冨士浅間神社」を参拝

北口本宮冨士浅間神社(せんげんじんじゃ)は、富士山をご神体とする1900年以上の歴史を持つ神社だ。世界遺産・富士山の構成資産であり、古くから富士山信仰のよりどころとなってきた。杉林に囲まれた神秘的な雰囲気の参道、木造では日本最大とされる冨士山大鳥居、美しい装飾が施された本殿、富士山の雪解け水が流れ出る手水舎など、神社だけでも見どころは尽きない。
また、あまり知られていないが、実はこの浅間神社が、富士山吉田口登山道の出発点、0合目である。昔の人々は、神社に参拝してから、徒歩で山頂を目指したという。ここから続く登山道には、5合目より上とはまた違った豊かな植生が見られ、地域住民や訪れる人の目を楽しませている。そんな自然や歴史を味わいながら、登山道を散策してみてはいかがだろうか。
北口本宮冨士浅間神社
住所 〒403-0005 山梨県富士吉田市上吉田5558
電話 0555-22-0221(9:00〜17:00)
ホームページURL:https://sengenjinja.jp/
■古来の富士登山道を散策し、お休み所「中ノ茶屋」に立ち寄ろう

北口本宮冨士浅間神社を出発点とする吉田口登山道は現在、標高1,450m付近にある「馬返し」まで車やバスで行くことができる。馬返しには駐車場(30台)があり、ここに車を停めて登山をスタートすることが可能だ。
神社と馬返しの中間地点には、300年以上の歴史を持つ休憩所「中ノ茶屋」がある。富士山が麓から徒歩で登られていた時代から、登山者の休憩所として利用されてきた茶屋で、訪れる歴史愛好家も多い。みたらしだんごやかりんとう饅頭などの甘味のほか、ご当地グルメ「吉田のうどん」を食べることができる(夏期は毎日提供、それ以外の時期は土日祝日限定)。シャワー設備があるため、ここで汗を流すことも可能だ。
気軽に富士山麓の自然を満喫するコース例として、北口本宮冨士浅間神社から歩き、中ノ茶屋で休憩し、馬返しでゴール。そして復路は馬返しバス停から乗車して富士山駅まで戻るといった楽しみ方ができる。
中ノ茶屋
住所 〒403-0005 山梨県富士吉田市上吉田5601-1
電話 090-4614-0223(9:00~16:00)
ホームページURL:https://fujiyoshida.net/spot/52
※営業日時は時期により異なります。ホームページよりご確認ください
■溶岩がつくり出したパワースポット「船津胎内樹型」

富士河口湖町にある無戸室浅間神社(むつむろせんげんじんじゃ。船津胎内神社とも呼ばれる) には、溶岩が形作った洞窟「船津胎内樹型」があり、内部を見学することができる。およそ1000年前の富士山噴火の際に流れだした溶岩が樹木を囲んだまま固まり、中の樹木が朽ちたことにより、大小さまざまな溶岩樹型ができたといわれている。

名前の由来は、洞窟の内部の様子が母親の胎内に例えられたことによる。古くから富士山信仰や安産祈願に多くの人が訪れているパワースポットだ。洞窟内は狭く滑りやすい箇所もあるため、動きやすい服装・歩きやすい靴で訪れよう。
船津胎内樹型
住所 〒401-0301 山梨県南都留郡富士河口湖町船津6603
電話 0555-72-4331(9:00〜17:00)
ホームページURL:https://www.fkchannel.jp/facility-02
※営業日時はホームページをご確認ください
本記事で紹介したように、山梨県にある吉田口登山道の周辺には、富士山麓ならではの自然や歴史文化を感じられる場所が数多く存在する。夏山シーズンはもちろん、それ以外の季節に訪れてもさまざまな表情を楽しめるスポットだ。富士山の山頂を目指すだけでなく、麓の豊かさを実感しに訪れていただきたい。
※この記事の情報は2025年6月現在のものです。内容が変更される場合もありますので、最新の情報はリンク先のHPでご確認ください。