■思わぬ置き土産が呼んだ、夢の連発劇!

画面中央下の水中に白くぼんやりと見える物体が「練りえさ」とおぼしきもの。おそらく先行者が帰り残したものだろう

 この日、筆者は好調と聞いた桟橋手前の釣り座に入ることができた。先ほどまで釣り人が竿を出していた場所とあって、魚の気配は濃い。試しに仕掛けを入れると、すぐにウキがピクピクと動き、ほどなくして本命のタナゴを釣り上げた。普通なら、エサを打ちながら少しずつ魚を寄せるところだが、今回は初めから群れが集まっており、なんとも幸先が良い。これも人気釣り場ならではの恩恵だろう。

婚姻色が鮮やかなオスのタナゴが釣れると思わず「やった!」と口元が緩んでしまう

 しかし、そんな好調も束の間。しばらくするとアタリはピタリと止んでしまう。隣の常連によれば、「午前10時以降はずっと、釣れたり止まったりの繰り返し」とのこと。筆者も粘り強くエサを打ち続け、再びポツポツと釣れるようになったが、「もっと釣れる場所があるのでは」とタナゴの釣果が20匹を超えたところでポイント移動を決意した。

 移動先は、ちょうど帰り支度をしている釣り人の座を引き継ぐ形の場所。その人は筆者に「朝はよく釣れたんだけど、今はあまり釣れませんよ」と、ひと言だけ残して立ち去った。さっそく仕掛けを入れてみるが、確かにアタリが出ない。ウキは静まり返ったまま、時間だけが過ぎていき焦りが募る。最初の釣り座はすでに別の人が入っており、戻るわけにもいかない。

この日、筆者はタナゴ釣りでお馴染みの「連動シモリ仕掛け」を使用した

 そんなとき、斜め前方の水中に「ギラリ」とタナゴがヒラを打つ姿が目に入った。さらに、その付近の濁りの中に、ぼんやりと白っぽい物体が沈んでいる。目を凝らすと、それはゴルフボールほどの大きさの白い塊。よく見ると、その周りは小魚が群がっている。しばし観察して、ようやく気がついた。それは、おそらく「練りエサ」に違いない。先ほどまでこの場所で釣りをしていた人が、使いきれずに余ったものを帰り際に投げ入れたものだと考えられるのだ。

 半信半疑で、その白い塊の周囲に仕掛けを入れてみると、ウキがすぐにピクリと動き、タナゴがヒット。その後も入れるたびに次々とアタリが出て、本命が連発。まさに夢のような時間が訪れた。

 結局、釣りを終えてみれば、4時間でタナゴが54匹という筆者にとっては大満足の釣果。まさか、あの練りエサの置き土産を残していった本人は、自分が帰ったあとにこんな事態が起こっていたとは夢にも思っていないだろう。釣りの面白さを改めて感じる一日となった。

この日のタナゴ釣果は54匹。他にクチボソも20匹ほど釣れた
とても愛らしいタナゴたち。童心にかえりいつまでも見てしまう

筆者が使用したタックルと道具は以下のとおりである。

使用タックル
ロッド:タナゴ竿 長さ40cm
仕掛け:タナゴ釣り用の連動シモリ仕掛け
エサ:タナゴ用のグルテンエサ(練りエサ)

あると便利な道具
小物用の針外し:魚に触れず針が外せる
練りエサ入れ:練りエサの乾燥を防いでくれる
折りたたみ椅子:釣り場での腰掛け
水汲みバケツ:釣った魚を生きたまま一時的に入れておくもの
エアーポンプ:水汲みバケツに入れた魚に酸素を供給するポンプ
小型の観察水槽:釣った魚を横から観察できる
手洗い用の水:ペットボトルに水道水を入れて用意
タオル:濡れた手を拭くために使用

■これから最盛期を迎える釣り場で癒やしのひとときを!

これからタナゴ釣りの最盛期を迎えると、釣り場では家族連れの姿が多く見られるようになる

 これから夏に向けて、野田幸手園のタナゴたちはますます元気になる季節を迎える。常連さんによれば、水温が上がるにつれて活性がさらに高まり、釣れるエリアも広がって、よりのんびりと釣りが楽しめるようになるそうだ。鮮やかな婚姻色をまとったオスのタナゴたちが多く姿を見せるのも、これからのお楽しみだとか。もし釣行を考えている場合は、事前に施設に問い合わせて状況を確かめると、より安心して出かけられるだろう。

 なお、これからの季節は魚の酸欠に注意が必要である。釣り上げたタナゴを後で写真撮影するために一時的にバケツ内に入れておく際は、エアーポンプを使い、さらにバケツを日陰に置くなど、くれぐれも魚への配慮を忘れないでもらいたい。

 爽やかな初夏の陽気のなか、野田幸手園で小さな宝石のようなタナゴたちとの出会いを楽しんでみてはいかがだろうか。

 

WakuWakuField 野田幸手園(入場料金、釣り案内、タナゴの釣り動画などの情報あり)https://satte-en.wakuwakufield.jp

●【MAP】WakuWakuField 野田幸手園