■実験3:段ボールで車内空間を二重構造に

段ボールで作った箱の横が入口。眠るときはここを塞ぐ

 無料で入手した段ボールをガムテープで貼り合わせ、巨大な横長の箱を作る。入口は側面で、高さは60cmだった。

 これも外気を二重にシャットアウトする狙いである。

 サイズの違う段ボール同士を切り貼りするのは、ちょっとどころではなく骨が折れた。

 車内に設置するのも一苦労で、せっかく作った天井部分が自重に耐えられずベコベコになるのには閉口した。

意外と広いダンボールの内部。隙間が目立つのが気になるが、驚くべき結果に

 今回も八幡平市で、予報最低気温は7℃。寝袋1枚で就寝。

●結果と所見

 一度設置すると出入りが楽で、前者と違ってガサガサ音もしない。

 朝5時の車内温度は10.7℃。段ボール内部は11.3℃だった。

 意外なことに3つの実験のうち、これが一番よく眠れた。だいぶ余裕をもって大きめに設置したため、思っていたより閉塞感もなし。 

 欠点は準備が大変なことで、あり合わせでサイズがバラバラの段ボールを切り貼りしたので強度に問題があり、おまけに見た目がよろしくない。可能であれば、似たサイズのものを事前に確保しておくとよいだろう。

 メリットは使用後に資源ごみとして廃棄でき、なによりも無料なところだ。

■結論、実験を終えて

 意外な結果となったが、段ボールが一番寝心地がよく、快適に眠れた。準備が大変なことを除けば、その効果は予想以上である。

 多少冷気の侵入はあったが、おそらく段ボール自体に保温・断熱効果があるのか、触れている箇所は冷たくないうえに、結露も発生しなかった。

 寝袋とカイロは手軽であるが、寒さ対策としてはいまひとつだった。

 エマージェンシーシェルターはデメリットの方が多く、おすすめできない。

 春は寒暖差が激しく、場所によっては気温が天気予報とは乖離することもあるので注意が必要だ。

 段ボールによる寒さ対策には改良の余地があるが、例えば大きめの同サイズの箱を用いることで設置を簡単にして、寝袋とカイロを併用することにより、もっと気温が低い時期にも対応できる可能性がある。機会があれば、ぜひまた実験して報告したい。