春になり、オートキャンパーや車中泊好きの人たちは出かけたくて、うずうずしていることだろう。しかし春とはいえ、北東北での車中泊はまだまだ寒い。4月の半ばを過ぎれば、関東ならば日中は20℃を超え、最低気温も15℃近くになるようだが、北東北(岩手・青森)や標高の高い山間部などは、最低気温が5℃前後まで下がることも珍しくない。

 筆者の経験では最低気温が10℃を下回る日は寒くて眠れない。車の窓をシェードで塞ぐ程度では寒さ対策としては不十分である。

 そこで、今回は車中泊の寒さ対策を3つ、実証実験してみた。

■寒さ対策の実験場所と共通環境

 実験の舞台は青森県弘前市、および岩手県八幡平市である。初回の実験予定日は4月下旬、予報最低気温は4℃だった。

 普通の軽自動車での車中泊を想定しており、車内が狭くなるのを避けるため装備を最小限にする。

 また、あまりお金がかからない対策を考えてみた。

 そのためFFヒーターなどの車内用暖房も、ポータブル電源もなしの環境で、就寝時の服装は共通して、下着の上にフリース上下、靴下着用である。

■実験1:ちょっといい寝袋+使い捨てカイロ

最も基本的にして、シンプルな寝袋スタイル

 真っ先に思いつくのが寝袋による気軽な対策だ。用意したものは最低対応温度マイナス15℃という触れ込みの人口羽毛タイプ。頭部フードがあり、ドローコードで引き締めて顔まわりを覆える。

 念のためインナーシュラフで二重にし、靴下に使い捨てミニカイロを入れて就寝した。

●結果と所見

 青森県弘前市の朝5時の車内温度は9.7℃だった。寒い!

 眠れないこともないが、早朝には露出した顔が冷たくなり、肩口と手足の末端が冷えて目が覚めてしまった。

■実験2:車の中にエマージェンシーシェルター

エマージェンシーシェルター。その名のとおり非常時に簡易的なテントとなる

 非常災害の備えに、Amazonにて500円で購入したものの、10年ほど使用する機会がなかったエマージェンシーシェルター。

 アルミ蒸着ポリエステル製のいわば筒状のシートだ。風に弱く簡単に破れるので、屋外用テントとしてはかなり頼りないものだが、車の中に設置することにより、外気を二重にシャットアウトし、アルミの反射で体温の放射熱を逃がさない目論見である。

 筒状なので前後が開いており、外気を遮るためにはここをしっかりと閉じる工夫が必要である。今回は養生テープと洗濯ばさみで前後を塞いだ。

 寝袋1枚のみで就寝してみた。

エマージェンシーシェルター内部。狭いうえに動くたびにガサガサ音が気になる

●結果と所見

 狭い車内での設営が困難で、シェルターの中に入るのも苦労した。

 岩手県八幡平市の予報最低気温は6℃で、朝5時の車内温度は8.9℃、シェルター内部は9.9℃。

 やはり前後の入り口の隙間が空いていたのか、侵入する冷気で目が覚めた。

 また、就寝中も実に寝苦しかった。ちょっと動くとガサガサ音が鳴るのが気になり、朝には内側が結露でビシャビシャになった。撤収も面倒で、まったくよい案でなかったことが判明してしまった。