■光小屋のおトイレ事情は?

うんちっちの汲み取り作業中

 光小屋の現在のトイレは、おがくずバイオ、杉チップバイオ、ぼっとん汲み取り式の3タイプが混在している。

 バイオトイレの使用方法は至って簡単だ。蓋を上げると、小と大の穴が1つずつ(これがまた、ピンポイントで狙うのが難しいともっぱらの評判)。用を済ませたら壁の横のスイッチを押すと便槽内のスクリューが回り、うんちとおがくずが撹拌される。そして、ヒーターが水分を蒸発させて、おがくずの微生物が固形物を分解してくれる。温めたり撹拌したりするには電気が必要だから、発電機を回さなければ機能しないのがネック。一日中、発電機を稼働させることはできないので、朝夕で4時間、うんちの様子次第では6時間稼働させている。

 小屋と同様に、二十うん年選手のトイレ。杉チップ式の2基のうちの1基が、今年はヒーターが機能しなくなり、スクリューも回らす…… ブツは溜まっていく一方だった。ヒーターが機能している残りの1基が頼みの綱! だが定員は少ないものの、毎日たくさんの人が用を足していく。順調に溜まっていくうんちっち…… 毎日毎日ヘッデンをつけて恐る恐るタンクを覗き込む。

光小屋は宿泊スペースとトイレは別の建物。手前の赤い屋根がトイレ棟

 「汲み取りの方を開けたらいいやんけ!」とお考えの方もいらっしゃると思うが、お忘れでしょうか。うちでヘリが飛ぶのは年1なので、シーズン中に汲み取ったうんちっちは来年まで保管しなければならないのだ。また、雨の日が続くと便槽内に雨が流れ込んでしまい、用を足すとおしりに液体が飛び跳ねる始末。ああ、ほんと、祈るような毎日だった。「3つから選べるなんて、よりどりみどりだぜ〜」なんて、呑気ではいられない非常事態のシーズンだった。

 バイオトイレなので、掃除にはよくあるケミカル系の洗剤ではなく、生分解性の高い自然に優しい系の洗剤を使用する。便槽内に余分な水分を入れないよう、便器の汚れはトイレットペーパーで拭き取っている。

 みんなが出発した後の朝イチのトイレを、また今日も登ってくる次のお客さんのために毎日掃除するのだけれど、今日はあたり、ハズレ、とかいちいち盛り上がる。年に1回くらいは、今日誰も使ってないのかしら? とびっくりするくらい綺麗な時がある。そんな日に当たるとラッキーではあるんだけれど、ここで私はそんな運を使ってしまっていいのだろうか?

 日帰りの人たちが下りたお昼前には、もう一度トイレチェックが必要だ。今日はもう小屋のトイレを使わない一度限りの人たちだからか、結構荒れていることが多い。そういうのも山小屋あるあるなのかしら? 皆さま、自宅のトイレだと思ってお使いいただけると助かります。

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