秋も深まり、北海道や日本アルプスの山々からは冠雪の便りが届き始めた。北海道で初冠雪を迎えると、富士山が雪化粧をする。今回は冠雪した富士山を眺めるのにおすすめな山を5つ紹介する。

■松と富士山のコラボはまるで北斎の浮世絵!?【山梨県・清八山】

 清八山(せいはちやま)は、山梨県大月市にある標高1,593mの山だ。富士山が美しくみられる大月市内の山を選定した「秀麗富嶽十二景」の12番目に選定されている。

 清八山の山頂や山頂付近には松の木が生えており、富士山とのコラボレーションで美しい景色になる。

松の木とセットで見る富士山。風情を感じる景色だ(撮影:2023年11月)

 清八山へは東西南北から登山道が延びているが、筆者が登ったのは三ッ峠登山口からのピストンコース。清八山山頂までは約1時間40分。道中は車が通行できるほど道幅のある林道のため安心して歩ける。林道終点の大幡八丁峠(おおはたはっちょうとうげ)の分岐から登山道となり、尾根沿いを歩いて清八山を目指す。尾根沿いに点在する松の木の背景に富士山を望めるため、お気に入りの景色を見つけてファインダーに納めてほしい。三ッ峠登山口から往復の所要時間は約3時間。

道幅が広く歩きやすい

 時間に余裕のある人は、清八山と同様に大月市秀麗富嶽十二景に選定されている本社ヶ丸(ほんじゃがまる・標高1,631m)と合わせて登るのもおすすめだ。

●【MAP】清八山

■河口湖のバックに雄大な富士山!【山梨県・黒岳】

 黒岳(くろだけ)は、山梨県南都留郡富士河口湖町と山梨県笛吹市芦川町との境界に位置する標高1,793mの山で、御坂(みさか)山地の最高峰。日本三百名山や山梨百名山に選定されている。

 河口湖の北に位置し、山頂からは河口湖のバックに富士山がそびえる絶景を楽しむことができる。すずらん群生地に駐車場があり、そこから新道峠(しんどうとうげ)を経由し周回するコースは危険箇所が少なく、急登もないためおすすめだ。黒岳山頂までの所要時間は約2時間10分。途中、新道峠まではバスも運行しており、バスの利用で行動時間を1時間ほど短縮できる。

 新道峠からは起伏の穏やかな尾根歩きが続く。タイミング次第では紅葉も楽しみながら歩けるだろう。黒岳山頂は樹林帯の中にあるため眺望はないが、山頂から5分ほど歩いたところに展望地があり、訪れた人は皆そこで景色を楽しみながら過ごしている。

黒岳山頂付近の展望地から望む富士山(撮影:2023年11月初旬)

 下山路は急な箇所もあり、滑りやすい落ち葉には注意しながら歩きたい。すずらん群生地から新道峠を経由し、黒岳を登る周回コースの所要時間は約3時間30分。短時間で周回可能なことから日の短くなる晩秋から初冬にかけて訪れるのにもおすすめだ。

●【MAP】黒岳

■山中湖の先にそびえる富士山を満喫【山梨県・石割山】

 山梨県都留市にある石割山(いしわりやま・標高1,413m)は、花の百名山や山梨百名山、日本百低山などに選定されている。

 石割山登山口は赤い鳥居をくぐってスタートする。403段の長い階段は先が見えないほど長く、序盤から体力を要するが、一段一段の段差は低く歩きやすい。意識的にペースをおとし、長い階段を乗り切ろう。

ゴールが見えないほどの長い階段

 階段が終わるとそこからは起伏の穏やかな登山道だ。8合目に石割神社があり、そこには山名の由来にもなっている真っ二つに割れた大岩が祀られている。

 登山口からおよそ1時間15分で石割山の山頂に立つことができる。山頂からは山中湖を望むことができ、その後ろに雄大な富士山がそびえる。ピストンコースなら2時間30分もあれば駐車場まで戻ってくることもできるので、観光やドライブと合わせて登山を楽しむのにもおすすめの山だ。

石割山山頂から望む山中湖と富士山(撮影:2024年11月)

 山中湖は富士五湖の中でも最も標高の高い位置にあり、登山口の標高は1,000mを超える。防寒対策はしっかりとして出かけてほしい。

●【MAP】石割山