■熊野神社から鹿倉山頂へ

深山林道終点、熊野神社。ここから鹿倉山山頂へ向かう
熊野神社の遷宮の磐(せんぐうのいわお)
鹿倉山登山道の苔むした大岩

 深山林道終点にある、杉木立に囲まれた熊野神社は小さな社だ。筆者が白木の鳥居の前に立つと、社の背後から太陽の光が差し込み、神々しい空気が漂った。社の脇には注連縄(しめなわ)が巻かれた小さな岩が目を引く。この岩は「遷宮の磐(せんぐうのいわお)」と言い、社を建て直す際、ご神体をこの岩に移したとのことだ。

岩の割れ目をよじ登り烏帽子岩へ
鹿倉山眺望スポットの烏帽子岩
鹿倉山の烏帽子岩からの眺望

 熊野神社から鹿倉山山頂までは約30分の急登となる。眺望スポットである烏帽子岩手前までは、急坂でも九十九折で歩きやすい。しかし烏帽子岩付近からは直登となり、烏帽子岩までの区間、よじ登らなければならないほどの急な斜面に変わる。ここは登るのも大変だが、下りは滑らないよう注意が必要だ。

 烏帽子岩はルート上にあり、岩の割れ目をよじ登り到達。ここからの眺望はすばらしく、丹波の山々を遠望できる。今回は花粉と黄砂による春霞があり、少しぼんやりとした風景だったが、それもまた春の訪れを感じさせる風情があった。

鹿倉山山頂
鹿倉山山頂からちょっとだけ見える眺望

 なお、登山道には苔むした大岩が点在し、まさに神奈備、神域といった雰囲気が漂う。この神秘的な道こそが、鹿倉山の最大の魅力と言えるだろう。

 山頂は開けた場所でとても明るい。眺望があまり良くないが、少しだけなら景色も楽しめる。

■鹿倉山を訪れてみよう

 鹿倉山には複数の登頂ルートがあるが、道標が少なかったり道が不明瞭だったりするコースもあるため、登山初心者には今回紹介した熊野神社ルートがおすすめである。もし山に慣れているのなら、太平寺旧参道ルートなど、別ルートを歩いてみるのもありだ。

 神が住まう鹿倉山。ぜひ一度足を運んでみてはいかがだろうか。

 

【鹿倉山から熊野神社ルート】所要時間
深山林道駐車場 (0:00) → 轟水満宮参道 (0:30) → 轟水満宮 (0:35) → 深山林道 (0:40) → 熊野神社 (1:00) → 烏帽子岩 (1:20) → 鹿倉山 (1:25) → 熊野神社 (1:40) → 深山林道駐車場 (2:20)
歩行距離:約7km
累積標高差:登り 470m、下り 470m
合計所要時間:2時間20分

●鹿倉山

●深山林道駐車場

●熊野神社

●轟水満宮