■応急処置に市販薬は効くのか?

腹痛に効く市販薬を無鉄砲に飲むのは控えよう

 根本治療は、内視鏡下で鉗子で主に胃壁に噛みついたアニサキスを除去すること。除去した途端に今までの痛みが嘘だったかのような状態に戻るのだ。1回目のときは幸いすぐに受診でき、その日のうちに摘出してもらった。しかし、今回は正月という見事なタイミング。すぐに内視鏡で対応してくれる病院が近隣になかった。

 ひとまず市販薬に頼ることにした。実は正露丸がアニサキスに効くという話があり、臨床研究をもとにした論文も発表されている。もし胃腸薬を飲むのであれば、試してみるのもよいだろう。筆者も腹痛が出てすぐに服用すると、1〜2時間程度痛みが和らいだ。

 ただし、アニサキスの動きを抑制する効果はあるものの、アニサキス症用治療薬として認められているわけではないので注意しよう。一番危険なのが、効果が感じられないからと規定量を超えたり、飲み合わせを考えず色々な薬を服用してしまうことだ。痛みが長引く場合は、他の病気の可能性もあるため、医療機関を受診しよう。

 また、勘違いしている方も多いが、「アニサキスに当たったかもしれないので検査してください」と伝えても、すぐに検査可能な病院は少ない。筆者の自宅近くのクリニックでは内視鏡検査が予約制だったため、断られた。受診する際には事前に内科・消化器内科などに検査が可能か電話で確認するようにしよう。

■アニサキスの結末

火の通った焼きサバなら安心して食べられる

 そもそもアニサキスは人間の体内では長く生きられないという。医者によれば、長くても1週間ほどで絶命するため、痛みに耐えれるのであれば自然治癒することもあるとのこと。筆者の場合は3日目には痛みも和らぎ、4日目で痛みがなくなったので、絶命して体外に出たのだろう。

 なお、アニサキスはマイナス20℃で24時間以上の冷凍か、60℃以上で1分以上の加熱で死滅するので、適切な処理で感染のリスクを下げることが重要だ。