■ハムシ観察の面白さ
先述した通り、コガタルリハムシが属するのは「ハムシ科」(=ハムシ)というグループ。ハムシは漢字で「葉虫」と書く。ハムシの仲間には、一生を通して特定の植物の葉を食べるものが多い、ということが所以だ。
例えばチョウ目の虫なども植物の葉を食べるが、それは幼虫時代だけ。一方、ハムシの仲間は成虫になってからも植物の葉を食べ続けるのである。
コガタルリハムシも、ハムシらしい生活史を送る種であり、幼虫も成虫もギシギシの葉を食べる。3月に出てきたコガタルリハムシの成虫は、間もなくギシギシの葉の上に産卵し、しばらくすると幼虫が葉の上で見られるようになる(さなぎの段階だけは土の中で過ごす)。
そのため、春にギシギシの葉を観察していると、卵、幼虫、成虫と様々な成長段階のコガタルリハムシを見ることができる。
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人が生活している周りにはさまざまな虫たちが暮らしているが、各成長段階を比較的簡単に観察できるものは多くない。このような、“虫の一生を地上で観察できる”というのは、ハムシ観察ならではの魅力なのである。
■身近な場所で暮らす美しいハムシたち
ハムシの仲間は一般的にはあまり知名度が高くなく、いわゆるマイナーな虫であると思われるが、じつはとっても多様な姿を持ち、美しい姿のものが多く含まれるのも特徴的だ。特に、輝く金属光沢を持つものが多い。
例えば、その虹色の美しい輝きに定評のあるアカガネサルハムシのように、美しい姿をもつ虫たちがたくさんいるのだ。
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しかもハムシは公園や田畑、生垣など、身近な場所で多様な種が暮らしている。植物の葉の上で生活する、小さな住人たちにも、ぜひ注目してみてほしい。