3,000m級の山々が連なる北アルプス。その岐阜県側の玄関口となるのが奥飛騨温泉郷。観光はもとより、登山者の疲れを癒す名湯として古くから親しまれてきた。その奥飛騨温泉郷で、「山岳温泉にめざめ、飛騨デザインに寛ぐ宿」として昨年9月に開業した温泉旅館が「界 奥飛騨」。

 冬の「界 奥飛騨」での滞在から、自然、歴史、文化に彩られた飛騨高山の魅力をわがままに全てを満喫したい。雪深いこの地は特に冬にこそ、その魅力が最大限に発揮されるのではないだろうか。

■全国23か所に展開する星野リゾートの温泉旅館「界」

地域ごとに温泉も伝統文化もそれぞれ。その土地ならではの魅力に出会える「界」

  「星のや」「リゾナーレ」「OMO(オモ)」「BEB(ベブ)」など、それぞれに特色のあるブランドを展開する星野リゾートが「王道なのに、あたらしい。」をコンセプトにする温泉旅館ブランドが「界」。

 現在、全国に23か所を展開し、それぞれの地域の個性を追求した「ご当地部屋」や伝統文化を体験できる「ご当地楽」など、温泉のみならず滞在を通して、その地の魅力を感じることができる。

 季節ごとに趣を変える「界」の温泉旅館は、どこを訪れても、いつ訪れてもその魅力を発見することができる。

■豊かな温泉、飛騨木工の匠はやわらかな木のぬくもりに包まれる「界 奥飛騨」

露天風呂付きの客室ではプライベートな空間でいつでも温泉を堪能

  国内第3位の湧出量を誇る奥飛騨温泉郷。その源泉は100を超える。平湯、福地、新平湯、栃尾、新穂高と5つの温泉地からなり「界 奥飛騨」は平湯温泉に位置する。豊かな自然と豊富な温泉。飛騨の伝統文化を色濃く感じさせてくれる「界 奥飛騨」の魅力とは。

室内は木の柔らかな雰囲気に癒される

 ●匠の技 伝統工芸の「ご当地部屋」は木の優しさに包まれる

印象的なヘッドボードは伝統技術の成せる技

  ご当地部屋の「飛騨MOKUの間」は、この地の伝統工芸でもある飛騨木工による曲木をモチーフとした寝台のヘッドボードにまず目を奪われる。横になって見上げてみると、木に抱かれるような安心感に包み込まれ、ほかにも飛騨春慶の漆塗りや飛騨染めのクッションなど、部屋全体から飛騨地方の文化を感じ取ることができる。

 全客室の半数以上には露天風呂付きで、濡れたまま寛げるソファーも備えられ、いつでも何度でも思いのままに温泉を楽しめる。

鮮やかな漆塗りが美しい飛騨春慶のウォールアート
飛騨染めによる界オリジナルのクッション

●雪に包まれるような露天風呂で時を忘れる癒しの時間

内風呂はあつ湯とぬる湯の2種類。柔らかな泉質は肌に優しい

  客室の露天風呂もいいが、やはり温泉旅館であるならば大浴場を楽しみたい。「界 奥飛騨」では客室のある2つの棟、湯小屋棟、中庭と足湯のある離れの全部で4つの棟から構成されている。かつてこの地では、共同浴場に歩いて出かけ、湯浴みをする風景があったという。その風景を再現するかのように、施設全体を回遊して滞在を楽しんでもらいたいという思いから「界 奥飛騨」は設計されている。

雪の中に包まれるような空間の露天風呂

  大浴場の内風呂では、あつ湯とぬる湯に分かれ、あつ湯には源泉3種をブレンドした温泉が使用されている。あつ湯とぬる湯、交互で入浴することで、温浴効果はさらに高まるという。

 露天風呂は何とも不思議な空間。天井まで続く白い壁はまるで雪に包まれているかのよう。見上げると頭上にはぽっかりと穴が開いており、空を眺めながらいつまでも浸かっていたくなる。

入浴前は「温泉いろは」に参加して歴史や効果的な入浴方法を学ぶ

 ●飛騨の伝統と極上の飛騨牛に舌鼓

飛騨地方に根付いた食文化が活かされた会席料理は囲炉裏端を思わせる盛り付け

  飛騨木工の匠の技に触れ、温泉に癒されたら、お待ちかねの夕食で飛騨を感じる時間だ。雪深い飛騨地方の冬の保存食を活かした先付けから始まる会席料理は地元の食材がふんだんに使われ、どれもが優しい味わい。

特別会席のメインとなる飛騨牛は朴葉に包まれ提供される
きめ細やかで豊潤な味わいの飛騨牛はぜひとも味わいたい

  それでもやはり飛騨といったら、やはり飛騨牛を忘れてはいけない。中でも特別会席で提供される「飛騨牛の朴葉つと焼き」は絶品のひと言。あらかじめ表面は熱した状態で提供され、あとは焼き台で好みの焼き加減に仕上げる。飛騨牛本来の旨味、甘みを最大限に活かすように、味付けは塩、わさび、漆黒醤油、実山椒とシンプル。口に入れた瞬間に広がる上品な甘みは、温泉と同様に旅の疲れを癒してくれることだろう。

食べる前からもう笑みがあふれ出す
甘味は高山名物の焼き団子に見立てたマシュマロにみたらしをかけて。網の下は炭に見立てたアイスも

 ●伝統の木工を体験「ご当地楽」に冬だけの特別体験 飛騨玉の雪明り

 温泉に癒され、飛騨の味覚を堪能しても、まだまだその魅力に満足するには足りていないようだ。「界」では、それぞれの地域文化を体験できる「ご当地楽」も楽しみのひとつ。

1300年以上にわたる飛騨の木工の歴史を学びながら曲木を体験

  「界 奥飛騨」では客室でも感じられた「飛騨の匠体験」として曲木を体験することができる。少しずつ、力を加えて曲げていくことによって曲木ハンドルは出来上がり、風呂敷を通すことでオリジナルのバッグが完成する。ちなみに「界」では施設ごとに風呂敷が用意されているので、曲木ハンドルを持って各地の「界」を訪れると、それぞれの施設ごとのバッグで楽しむなんていうのもあり。

慎重かつ力を入れて木を曲げていく。匠の技術を体感
オリジナルの曲木ハンドルで満足の出来栄え

  この「ご当地楽」を体験できる中庭、足湯のある離れはトラベルライブラリーともなっており、使い込まれた木工の道具とともにデザインされた木の壁面にはソファースペースも。飛騨の歴史や文化に触れながらゆっくりと過ごす時間は慌ただしい日常を忘れさせてくれる。

昔、使われていた工具も伝統を感じさせるインテリアへと
お茶やコーヒーなどのドリンクサービスもあるライブラリースペース

  また、雪深い冬の特別な季節にだけ、中庭は「飛騨玉の雪明り」としてライトアップされる。照明の傘は合掌造りを思わせ、雪景色の中、幻想的な時間を過ごすのも悪くない。体が冷えたら足湯もあるし、また温泉に浸かればいいのだから。

雪景色をさらに幻想的に変えてくれる「飛騨玉の雪明り」
雪深いこの地方ならではの合掌造りを思わせる

  温泉も食も満喫し、迎えた朝は「現代湯治体操」でさらにリフレッシュ。朝食には飛騨地方の冬の保存食でもある干し野菜がふんだんに使われた味噌鍋が滋味溢れる優しさで心も体も温まる。

 さて、この地方の魅力はまだまだある。北アルプスの大自然を満喫しようか。それとも歴史情緒感じる散策に出かけようか。楽しみ方はそれぞれに。

目覚めの温泉の前に現代湯治体操で体をほぐす
滋味あふれる干し野菜は豚肉と一緒にお味噌汁風の味噌鍋でいただく
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