■圧巻の迫力で胸を打つ古代神殿の数々
アクロポリスの中に入ると、その中心に堂々と立つパルテノン神殿が目に飛び込んできた。修復中の梯子がかかっていたものの、それでも古代西欧文明の象徴ともいえるパルテノン神殿の威光に圧倒される。真っ青な空を背景に堂々とそびえる円柱は、中央に膨らみを持たせたエンタシスという技法で造られている。
紀元前438年に完成したというこの神殿は、アテネの守護神である女神アテナイに捧げられたもので、重厚かつエレガントなこの神殿は、古代ギリシャのみならず、全ての人類の叡知の象徴でもある。パルテノン神殿の基盤は長さ69.5m、幅30.9mで、外周を取り囲む円柱は直径1.9m、高さ10.4mもある。こんなに巨大な建築物を、海抜150mの高台の一枚岩の上に築いた古代ギリシャ人の知恵と技術、創造力にただただ感嘆するしかない。
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パルテノン神殿をたっぷり鑑賞した後は、その向かいにあるエレクテイオンの神殿へ足を進める。カリアティードと呼ばれる大理石の6体の少女の柱像が印象的なこの神殿はイオニア式古代建築の傑作と言われ、紀元前421年〜紀元前407年の間に完成したと伝えられている。現存する神殿はペルシア戦争後に再建された。
神話によると、この場所で女神アテナイと海神ポセイドンがアテネの守護神の座をかけて争ったという。アテナイはオリーブの木を植え、ポセイドンは泉を湧かせたが、結果としてオリーブの木を植えたアテナイが勝者となり、以来アテネの街の守護神となったのだそうだ。このエレクテイオンには、女神アテナイだけでなく、ポセイドンやゼウスなど、ギリシャ神話に登場する多くの神々が祀られている。子どもの頃、本で読んだギリシャ神話の神々たちが、この場所に存在していたのかと想像するだけで心がときめく。
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